特集

シネマの週末

ベテラン映画記者が一本の映画をさまざまな視点から論評を加えます。チャートの裏側も紹介。

特集一覧

シネマの週末・この1本

あなたの名前を呼べたなら 理不尽でもまっすぐに

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
映画「あなたの名前を呼べたなら」の一場面
映画「あなたの名前を呼べたなら」の一場面

 恋愛映画は主人公たちの行く手を阻む障壁が高いほど、ドラマの情感が盛り上がる。“身分違い”は最もポピュラーな障壁だが、このインド映画は古風な時代物ではない。現代の大都市ムンバイを舞台に、理不尽な階級差や因習が残るインドの現実を描く。

 19歳で嫁ぎ、4カ月後に夫を病気で亡くしたラトナ(ティロタマ・ショーム)は、今はムンバイの住み込み家政婦だ。雇い主である大富豪の御曹司アシュヴィン(ヴィヴェーク・ゴーンバル)は、婚約者の浮気で挙式直前に破談となり、失意のどん底に。そんな同じ屋根の下で暮らす男女の格差愛の行方を見つめる。

 ご主人様と使用人。ましてラトナは夫の死後も婚家に縛られ、恋愛さえご法度の“未亡人”だ。インドで生まれ、米国で学んだ新人のロヘナ・ゲラ監督は、階級社会のインドでは成立しえない身分違いの恋を、ファンタジックなおとぎ話にせず、リアルかつ洗練された作風で語っていく。

この記事は有料記事です。

残り987文字(全文1377文字)

あわせて読みたい

マイページでフォローする

ニュース特集