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露首相の択捉島訪問 交渉の信義に反する行為

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 ロシアの日本に対する挑発が続いている。先週メドベージェフ首相が北方領土の択捉島に入り、今週は国後島周辺で射撃訓練を実施した。

 メドベージェフ首相は「ここは我々の土地だ」と語った。訓練はサハリン州での軍事演習の一環という。両島の主権を強調したいのだろう。

 日本政府は「受け入れられない」と抗議し、バンコクでの開催が予定された日露外相会談は見送られた。

 両国は、領土問題を解決し平和条約を結ぶための交渉の枠組みを決めて協議を続けてきた。その最中に相手の立場を意に介さず一方的に訪問するなら信義に反する。交渉は一層困難になるだけだ。

 露首相の訪問は9月のサハリン州知事選の与党候補応援の意味もあったという。プーチン露政権は長引く経済低迷で支持率が低下している。領土問題で強い態度を示すのは国内向けのアピールでもあるのだろう。

 日本の脇の甘さがロシアの独善的な行動を招いたのは明らかだ。安倍晋三首相は「日本固有の領土」など従来の主張を封印した。足元を見透かされたと言われても仕方ない。

 それでも、日本とは交渉を続けながら、領土の主張を国内選挙に利用するロシアのやり方は問題だ。

 最近のロシアの強硬姿勢は目に余る。とりわけ危険なのは軍事的な圧力で緊張を高めていることだ。

 ロシア軍は6月に4年ぶりに日本領空を侵犯した。沖縄から北方四島の太平洋上を通過したとされる。

 7月にもロシア軍機が竹島上空を領空侵犯した。このときは中国軍機との初の合同飛行だったという。

 相次ぐ異例の領空侵犯は、アジアでの米国主導の軍事的優位を覆そうと試みているのではないか。

 ロシアが領土交渉で繰り返し在日米軍を排除しようとするのも、米国の影響力を極東から遠ざけたいという思惑があるのだろう。

 第二次世界大戦末期の1945年8月9日にソ連が対日参戦してからきょうで74年になる。中立条約を一方的に破棄して侵攻し、日本の降伏後に占拠したのが北方領土だ。

 安倍首相は来月、ロシアを訪問してプーチン大統領と会談するという。歴史認識を踏まえ、ロシアの挑発をたしなめてこそ、建設的な論議につながるはずだ。

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