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全ての分野で核兵器廃絶の態度を 被爆者代表、首相に要請 「平和への誓い」全文

「平和への誓い」を読み上げる山脇佳朗さん=長崎市の平和公園で2019年8月9日午前11時14分、徳野仁子撮影

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 長崎は9日、米国による原爆の投下から74年となる「原爆の日」を迎えた。長崎市の平和公園であった平和祈念式典で、被爆者代表の山脇佳朗(よしろう)さん(85)が「平和への誓い」を読み上げた。

「平和への誓い」全文

 1945年8月、アメリカが広島・長崎に原爆を投下し二十数万人の命が奪われました。私は当時11歳、爆心地から約2キロの自宅で被爆しました。

 母と4人の弟・妹は佐賀へ疎開していて難を免れましたが、父は爆心地から500メートルの工場で爆死していました。私たちは兄弟3人で焼け残りの木片を集めて焼け落ちた工場のそばで父の遺体を荼毘(だび)に付しました。しかし焼けていく遺体を見るに耐えきれず燃え上がる炎を見ながらその場を離れました。

 翌日、遺骨を拾いに行きました。でも遺体は半焼けで完全に焼けていたのは手足の一部だけでした。「せめて頭の骨だけでも拾って帰ろう」と兄が言い、火箸で頭の部分に触れたら頭蓋骨(ずがいこつ)は石こう細工を崩すように割れ白濁した半焼けの脳が流れ出したのです。兄は悲鳴を上げ火箸を捨てて逃げ出しました。

 私もその後を追って逃げ出したのです。私たちはこんな状態で父の遺体を見捨ててしまいました。原爆で火葬場も破壊されたため、家族や身内を亡くした人々は私たちと同じように無残な体験をしなければならなかったのです。

 それだけではありません。辛うじて生き残った人々は熱線による傷や放射能による後遺症に悩まされながら生きていかねばなりませんでした。

 私は原爆の被害を受けて二十数年後、急性肝炎、腎炎を発症し今なお治療を続けています。更に六十数年後には胃がんに侵され2008年、2010年にがんを摘出する手術を受けました。あの時、私と一緒に行動した兄と弟もがんに侵され治療を続けています。

 あれから74年、被爆者の私たちは多くの方々と「核兵器廃絶」を訴え続けてきました。また、60歳を過ぎて英語を独学で学び、2015年11月長崎で開催されたパグウォッシュ会議では世界の科学者に英語で「核兵器廃絶」に力を貸してくださいと訴えました。しかし、ロシア、アメリカなどの国々に今なお1万3880発もの核兵器が保有されていると言われています。

 更にアメリカはロシアとの間に締結している中距離核戦力全廃条約からの離脱を宣言し、失効しました。2月にはトランプ政権になってから2回目の「臨界前核実験」を行ったと報じられています。これは「核兵器の廃絶」を願う人々の期待を裏切る行為です。

 被爆者は日を追うごとに亡くなっています。私はこの場で安倍総理にお願いしたい。

 被爆者が生きているうちに世界で唯一の被爆国として、あらゆる核保有国に「核兵器を無くそう」と働き掛けてください。この問題だけはアメリカに追従することなく核兵器に関する全ての分野で「核兵器廃絶」の毅然(きぜん)とした態度を示してください。もちろん、私も死ぬまで「核兵器廃絶」を訴え続けます。

 それが74年前、広島・長崎の原爆で失われた二十数万人の命、後遺症に苦しみながら生き残っている被爆者に報いる道だと思います。

 私は第二次世界大戦によって310万人の命を犠牲にした日本が、戦後に確立した「平和憲法」を守り続け、戦争や核兵器もない世界を実現する指導的な役割を果たせる国になってほしいと念願し「平和への誓い」と致します。

 Please lend us your strength to eliminate nuclear weapons from the face of the earth and make sure that Nagasaki is the last place on Earth to suffer an atomic bombing.Thank you.

(この世界から核兵器を廃絶し、長崎を最後の被爆地とするために皆さんの力を貸してください)

 2019年8月9日

被爆者代表 山脇佳朗

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