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余録

夏目漱石の「吾輩は猫である」に…

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 夏目漱石(なつめそうせき)の「吾輩(わがはい)は猫である」にギリシャの作家イスキラスの奇禍(きか)の話がある。ある日、頭のはげたイスキラスが往来を歩いていると、なんと空から亀が降ってきて頭を直撃し、あわれ命を落としたのである▲この亀、実は上空からワシが落としたものだった。捕らえた亀の甲羅(こうら)を地上に落として割ろうとしたワシが、太陽の光でピカッと光った作家の頭を狙ったのだ。さてワシは頭を岩か何かと間違えたのか、「吾輩」も首をかしげている▲このイスキラス、悲劇詩人のアイスキュロスである。岩山にすむヒゲワシは実際、動物の骨などを岩に落として割って食べると聞けば、伝説もにわかに真実味をおびる。もしも本当なら世界の偉人の中でもとびきり不運な最期だろう▲東京・羽田空港の国際線増便のため都心の上空を通る新飛行ルートの運用開始が来年3月29日と決まった。これにより南風時の午後3~7時、1時間に最大44便が都心上空を通るが、なお騒音や落下物への住民の不安も消えていない▲騒音には低騒音機導入を促す対策などがとられるが、多くの住民の反応がはっきりするのは運用が始まってからか。これまで成田周辺で年間2件ほどある飛行機の部品や氷の落下も、都心とあれば思わぬ事態を招く恐れが大きくなる▲空から亀が降るのを心配していては世界の都市間競争についていけまいが、騒音や上空飛行のリスクが都民の容認できるレベルか否かは実際に見定めた方がいい。環境も安全も世界都市・東京の必須(ひっす)条件だ。

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