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湯川豊・評 『ある一生』=ローベルト・ゼーターラー著、浅井晶子・訳

 (新潮クレスト・ブックス・1836円)

黙って生き、死んでいった男の面影

 アンドレアス・エッガーは、オーストリア・アルプスの谷間の村に生きた山の男だが、登山をするわけではない。山で働きづめに働いた男である。その生涯の話を読み終わったあと、私は沈黙を強いられたが、その沈黙には何かいいようのない魅力があった。

 エッガーの苛酷な生涯と、その魅力がうまく結びつかない。あれこれ考えるうちに、沈黙するしかなくなるの…

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