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『バチカンと国際政治 宗教と国際機構の交錯』=松本佐保・著

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 (千倉書房・4860円)

 現存する組織の中で最もミステリアスな部類に数えられるバチカンであるが、松本佐保氏はバチカンを通常の外交史の研究対象として扱い、文書館の一次史料を利用して研究を重ねてきた。本書も、20世紀初頭から現代まで、バチカンがいかに激変する世界に対応しながら生きのび、影響力を確保し続けて来たかが多くの一次史料から明らかにされる。

 20世紀の国際政治の特徴は、やはり「共産主義という怪物」と、国際機関である。本書では、バチカンがいかにこれらの新しい現象に対峙(たいじ)し、取り組み、時に利用し、あるいは敵対してきたかが描かれる。国家同士が約束により制度を作ることは新しくないが、国際政治の主体として常設国際機構が多く登場するのは20世紀である。現存する最古の国際機関である国際労働機関(ILO)、世界プロテスタント教会協議会、国連…

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