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社説

語り始めた戦争孤児 悲惨な体験記録し後世へ

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 戦時中の空襲などで保護者を亡くした戦争孤児はどんな生活を強いられたのか。戦後74年を迎える今、浅井春夫・立教大名誉教授ら全国の研究者約30人が「戦争孤児たちの戦後史研究会」をつくり、聞き取り調査を進めている。

 戦争孤児は12万人以上いるといわれ、空襲のほか広島・長崎の原爆、沖縄の地上戦でも大勢の子供が孤児となった。中国や南洋など海外から引き揚げる際に身寄りをなくした子供も多かった。

 終戦後、東京・上野の地下道など各地に「浮浪児」といわれた子供たちがあふれ、餓死したり、凍死したりしたことも少なくなかった。

 生きるために盗みや恐喝、売春をする者もいた。行政は「狩り込み」と呼ぶ強制的な収容をした。トラックに乗せられ、遠い山中に置き去りにされたこともあったという。

 戦争は弱い立場の人に最も悲惨な被害をもたらす。だが、国は孤児の救済に力を入れず、孤児のための施設も少なかった。親戚や里親に引き取られる子供は多かったが、学校に通えず、働かされることもあった。

 差別や偏見にさらされ、苦しんだ体験を大人になっても話さない人は多い。国も調査をしてこなかったため、他の戦争被害と比べて実態がよく分かっていない。

 こうした中、当時子供だった人が高齢になった近年、このままでは孤児の体験が歴史に埋もれてしまうと、研究者の聞き取りなどに、つらい過去を語ることも増えてきた。ようやく発した言葉は重い。

 星野光世さんは東京大空襲で両親と兄妹を亡くし、親戚の家で苦労を重ねた。星野さんは自分を含めて孤児11人の体験を文と絵で表した本「もしも魔法が使えたら」(2017年)に書いている。

 <誰が好き好んで孤児になったというのでしょう。蔑(さげす)まれるべきは残された子どもではなく、親を奪った「あの戦争」ではないでしょうか>

 民間の空襲被害者らの救済を目指している超党派の議員連盟は17年、孤児らの被害の実態調査を国に課すことを含めた法律の骨子素案をまとめている。

 体験を記録に残すことは、悲惨な戦争被害を後世にしっかり伝えることにつながる。

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