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社説

自治体のAI活用 住民本位の視点忘れずに

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 自治体が行政に人工知能(AI)を活用するケースが増え始めた。

 AIには学習能力があり、大量の事務を処理できる。地方は人口減少や要員不足に直面している。それだけに、これまで多くの人手を要した作業の省力化を期待している。

 ごみの分別案内、窓口業務、公共交通など、ここ数年、地方がAIの活用や検討を進める分野は幅広い。

 高松市の場合、保育施設への入所児童の選考作業にAIの技術を導入して注目されている。

 入所者を決めるには世帯状況などを点数化し、順位をつけるため、多くの労力を要する。この作業の一部をAI化すると、職員4人で600時間要した作業が1分以内で終了したと同市は説明している。

 東京都港区は外国人からの問い合わせにチャットで英語などで自動回答するシステムや、会議録作成などに活用している。高松と同様、保育所決定にも導入する。

 自治体は定員削減に伴う慢性的要員不足に苦慮している。しかも人口減少に伴う人手不足は深刻化する。AIに注ぐ視線は熱い。

 だが、自治体による住民行政と、効率優先の企業経営では、AI活用のあり方にはおのずと違いがあることをわきまえねばならない。

 たとえば保育所入所者の決定は生活に直結するデリケートな分野であるため、自治体は導入にあたり、職員による作業と結果が一致するようテストを重ねる。それでも作業が「ブラックボックス」化しないよう、検証し説明する姿勢が求められる。

 住民サービス向上につなげる視点を忘れてはならない。職員を単純作業から解放する代わりに、創造的な業務や住民と直接ふれあう分野に余力を振り向けないと、単なる人減らしの道具と化してしまう。

 AIの導入には多くのコストを要する。このため、財政が豊かな自治体と町村などの間で利用度の格差が拡大するおそれもある。活用がさらに進めば個人情報の取り扱いなど、さまざまな課題も生じよう。

 近い将来、自治体の仕事はAIで可能なものと、あくまでも職員が担うものの「仕分け」が必要になるかもしれない。行政の進め方を大きく変え得るテーマだ。効率至上に陥らぬ運用をこころがけてほしい。

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