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 今年も盆がやってきた。この時期には亡くなった身近な人を思い出す。今年は私の師であった廣末保氏のことを思っている。つい先日「生誕百年・廣末保の仕事」というシンポジウムを法政大で開催したからである。

 廣末保先生は近世文学にいくつも新しい視野を開いた。そのひとつが遊行(ゆぎょう)、漂泊、悪場所である。忘れられない体験がある。江戸文学に夢中になった私は初めて廣末先生の講義に出た。しかしぼうぜんとした。全くわからないのである。にもかかわらず今でも、先生が何を話していたか覚えている。遊行と漂泊についてだった。

 遊行と定住という対比が、廣末保の研究の根幹にある。私は近代との対比で近世を見ていたが、廣末先生は中…

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