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ブラック・チェンバー・ミュージック

米朝の駆け引きが続く国際情勢を背景にしたフィクション小説。著者は阿部和重さん、写真は相川博昭さん。

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ブラック・チェンバー・ミュージック

/14 阿部和重 写真・相川博昭

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 言いながら沢田龍介は流れるようなしぐさで煙草(たばこ)の箱をとりだし、くわえたいっぽんのさきっぽにダンヒルのガスライターで火をつけた。おれんち禁煙なんだけど、と横口健二は口に出しかけたが、とうに大量の吸い殻で埋まっているラーメンどんぶりがこたつ板のうえに載っているのが目に入り、今さら手おくれだと悟る。それに喫煙も問題だが、沢田龍介もつれの女性も土足で室内にあがりこんでいる。いくらぼろアパートだからといって、ひとんちをなんだと思っているのか。

「どうでもいいけど沢田さん、靴ぬいでよ靴。遠路はるばる訪ねてきてくれたのは結構だけどさ、勝手にあがりこんだあげくふたりして靴も履きっぱなしってなにやってくれちゃってんのよ」

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