「うまくなりたい!」。高校からの帰り道。吹奏楽部の練習で重要なパートから降ろされた久美子は、何度もこう叫び、泣きながら夜の橋を駆ける。セーラー服姿を捉える視点は背中から、横から、前からと転換し、背景を織り交ぜながら少女の内面を描き出す。
吹奏楽で全国大会を目指す高校生を描いた京都アニメーションの人気作「響け!ユーフォニアム」の一場面。舞台は同社が本社を置く京都府宇治市の名所、宇治橋だ。「表情、髪の揺れ方、涙のこぼれ方、全て美しい」「テレビアニメで初めて泣いた」。ファンの間で名シーンと語られる。
演出を手がけたのは、第1スタジオの放火殺人事件で命を奪われた木上益治(きがみよしじ)さん(当時61歳)。取締役も務めるこの道40年のアニメーターだった。「ドラえもん」やスタジオジブリ制作の映画「火垂るの墓」などの原画にも参加したが、広く知られるようになったのは事件の後。「知る人ぞ知るアニメ界のレジェンドだった」とかつての同僚は言う。
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