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社説

長引く香港の混乱 介入回避が長官の責務だ

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 香港から中国への犯罪容疑者移送を可能にする「逃亡犯条例」改正案への反対運動に収束の気配が見えない。香港国際空港がデモ隊の占拠でマヒする事態にまで発展した。

 民主派の要求に耳を塞ぐ香港政府への批判も高まる。中国の無用な介入を招かぬように香港政府が民主派との対話に動くべきだ。

 条例案をめぐっては6月の大規模デモ後、林鄭月娥(りんていげつが)行政長官が事実上、廃案にする考えを表明した。しかし、民主派は完全撤回や林鄭氏辞任を求め、抗議活動を続けている。

 香港市民の多くが憤るのは催涙ガスや暴動鎮圧用の銃を用いた香港警察の過剰な警備行動だ。デモ参加者から多数の負傷者が出ていることに国連人権高等弁務官も国際基準に合わないと懸念を示した。

 独立調査委員会で警察の「暴力」の実態を調べるよう求める意見も多い。林鄭氏が耳を傾ければ、対話の環境も整うのではないか。

 中国政府はデモ隊が国旗や国章を毀損(きそん)したことを非難し、デモを支援する米国や旧宗主国の英国などの動きを「内政干渉」と批判する。

 しかし、アジアの金融センターで交通の要所でもある香港の行方に国際社会が関心を持つのは当然だ。

 香港と隣接した広東省深センには武装警察部隊が集結している。中国軍が介入すれば、世界から厳しい批判を浴びることになるだろう。

 香港駐留部隊以外の軍が境界を越えられるのは戦争か国家の安全が脅かされるような緊急事態の場合に限られるはずだ。正体不明の集団がデモ参加者を襲う事件が起き、デモ隊の一部が過激化するなど混乱は拡大しているが、非常事態とは程遠い。

 民主的な選挙を経ていない行政長官は権威を欠く。中国のあやつり人形という批判もある。しかし、警察を含めた政府を指導し、法、予算を執行する権限を持つことも事実だ。

 林鄭氏は今の香港の状況について「引き返せるかどうかの瀬戸際にある」と危機感を示す。それなら、自ら動く時だ。民主派との対話と共に中国に「1国2制度」の重要性を説き、介入を防ぐことが求められる。

 今後もデモや集会が予定されている。デモ隊側も「非暴力、理性的」という方針を貫き、香港政府に対話を促すべきだろう。

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