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中村桂子・評 『恐竜の世界史 負け犬が覇者となり、絶滅するまで』=スティーブ・ブルサッテ著、黒川耕大・訳

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 (みすず書房・3780円)

私たちにも起こりうる盛衰の物語

 夏休みの定番恐竜である。近年恐竜研究は急速に進み、一昔前の怪獣と並べて語っていた時代とは異なり、進化の歴史の中で躍動する魅力的な生きものとして語れるようになっている。今一番面白い分野かもしれない。本書はその最先端で活躍する若手研究者が豊富な体験から語る物語である。「恐竜はどこから来て、どうやって支配者に成り上がったのか。どのようにして巨大化し、あるいは羽毛と翼を発達させて鳥に進化したのか。そして、なぜ鳥以外の恐竜が滅び、その結果として現代の世界に至る道が拓(ひら)け、私たち人類が誕生することになったのか。そんな壮大な物語を語ろうと思う」。これを聞きたいと思わない人がいるだろうか。しかも、「恐竜のすみかは私たちのすみかでもある」のだから、この物語から学ぶことは多いに違いない。

 壮大な物語なので、各章のタイトルによって流れを見ておこう。まず、恐竜興る、台頭する、のし上がるが語られる。次いで、暴君恐竜、恐竜の王者が生れ、栄華を極める一方で、空へと飛び立つ。ところが、この恐竜が滅び、恐竜後の世界となるのである。

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