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藤原帰一の映画愛

ドッグマン 力を振り回される側から無法に沈黙する社会描く

 法の支配がなければ、強いもの、暴力の行使を厭(いと)わないものの言うなりにされるなんてことになりかねません。でも、強いものに逆らうことが難しい現実があることも私たちは知っています。これは、力が支配する社会を極限まで押し詰めた作品です。

 マルチェロは、うらさびれたイタリアの町に住む中年の男性。小さいながら自分の店を持ち、何匹もの犬を育てて暮らしています。既に奥さんとは別れ、たまに会うことを許される娘と今度は何をしようか、計画するのが楽しみ。仕事の合間には知り合いとサッカーで遊んだりする、ごく普通の小市民という印象です。

 ただ、友人のシモーネが乱暴なんです。突然店に入ってきて、コカインよこせという。マルチェロが渡すと、…

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