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社説

米大統領選と民主党 「反トランプ」超える旗を

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 2020年11月の米大統領選に向けた野党・民主党の討論会が始まった。有力政治家ら20人が大統領候補の座を争う激戦になっている。

     支持率でトップを走るのはオバマ前政権の副大統領だったバイデン氏だ。穏健派の重鎮で、現実路線を重視する姿勢には安定感がある。

     これに対しベテランのサンダース、ウォーレン、若手のハリス各上院議員ら急進左派が大胆な環境・福祉政策で支持を集め、猛追する。

     資質に最も優れている候補はだれか。どの候補の政策が社会や生活をよくできるか。なによりだれなら現職のトランプ大統領に勝てるか。候補者たちの論戦は白熱している。

     野党が政権奪還を目指して今の政権を厳しく批判するのは当然だが、それにしても異様な雰囲気だった。

     「差別主義者」「白人国家主義者」「臆病者の略奪者」。現職大統領にこれほど激烈な言葉を次々と浴びせたことに驚く。7月の候補者討論会のことだ。民主党に渦巻くのは「反トランプ」の大合唱である。

     不法移民問題や人種的憎悪による銃乱射事件でトランプ氏の対応を批判する狙いだったとしても、それでは感情的な対立をあおるだけだ。

     トランプ氏は「眠たげなバイデン氏」「狂ったサンダース氏」などさげすんだ表現で繰り返し批判しており、中傷合戦の様相を呈している。

     候補選びは長丁場だ。討論会を重ねる過程で党員が吟味し絞り込んでいく。だが、その結果、前回共和党が選んだのがトランプ氏だった。

     移民に寛容な民主党は一方で白人の支持を失ってきた。その不満を吸い上げたトランプ氏だ。だが差別的な手法は社会の分断を広げている。

     移民問題の背景には25年後までに半数を割り込むという白人の反発がある。人種的な融合は難題だが、民主党は白人層に目を向けるべきだ。

     大統領選の論争は国内問題に集中する。しかし、トランプ氏によって国際秩序が動揺する中、外交は避けて通れぬ大きなテーマだ。

     中国やロシアの台頭、北朝鮮やイラン問題など多くの課題を抱える。にもかかわらず世界を安定に導く議論が深まらないのは心もとない。

     9月の討論会は人数が絞られる。トランプ氏の「米国第一」に対抗する政策を具体的に示してほしい。

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