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社説

企業型保育所の不正 ずさん審査放置したツケ

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 企業主導型保育所を開設する名目で国の助成金約4億8000万円をだまし取ったとしてコンサルティング会社の経営者らが起訴された。

     企業主導型保育所は「従業員の働き方に応じた柔軟な保育サービスの提供」を目的に構想されたが、これまでも施設工事費の水増しや運営費の詐取などが起きている。利用希望者の状況をよく把握せずに開設するため、定員割れのところも多い。

     待機児童の解消を急ぐ安倍政権が、多額の公費を投じて企業に保育事業の参入を促したことが背景にある。甘い審査を見直し、不正を許さない体制を作らなければならない。

     企業主導型保育の制度は2016年度から始まった。企業が自社の従業員のための保育所を持てるようにすることが目的だ。従業員以外の子どもも一定割合で受け入れが認められている。認可外保育だが、国から認可施設並みの助成金が支出されるなど経営上のメリットは大きい。

     企業が自ら保育士の確保や開設の手続きをしなくても、保育事業を熟知した別法人などに運営を委託することができる点も特徴だ。保育所経営の経験がなく、資金が少ない企業の参入も促すためだ。実際、建設や不動産など保育とは無関係の企業が開設に乗り出すケースは多い。

     社会情勢や消費者のニーズの変化に応じて企業が事業内容を変えることはよくあり、それ自体は批判されるものではないだろう。問題は、新規事業の開設や運営が適切に行われるかどうかだ。

     企業主導型保育所で不正が横行しているのは、厚生労働省管轄の公益財団法人「児童育成協会」の審査がずさんだからである。

     通常の認可保育所の審査では現地に赴いて調査し、運営体制も詳細に調べる。ところが、企業主導型保育所の審査を担う同協会は書類を見るだけで認可することが少なくない。助成申請が急激に増え、昨年度だけで4887件に上る。これを約50人の職員で審査しているためという。

     認可保育所は毎年増え続けているが、待機児童はなかなか解消されない。政府が成果を急ぐあまり、新規保育所開設のブレーキになりそうな審査の厳格化を遠ざけてきた面はないだろうか。再発防止のための詳しい検証が必要だ。

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