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サンデー毎日発

全国240大学・実就職率ランキング 学生の将来にも責任を持つ就職支援力が高い大学は?

全国240大学実就職率ランキング 卒業生1000人以上

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全国240大学実就職率ランキング 卒業生100人以上1000人未満

 今年3月卒の大学生の就職状況がまとまった。大学生の“売り手市場”は変わらず、就職は好調だ。では、具体的にどのような特徴が見られたのか。就活全体の総括とともに、個別大学の就職状況について検証する。

 来春社会に出る2020年3月卒の大学生の就職戦線は、就活ガイドラインにのっとった企業が内々定を出す6月で、山場を越えた。リクルートキャリアによると、6月1日時点の内々定率は70.3%で前年を2.2ポイント上回っている。すでに7割の学生の就職先が決まっており、相変わらずの大学生の売り手市場を物語る。

 好調な大学生の就活状況について、すでに確定している19年卒の就活状況から検証してみよう。マイナビ編集長の高橋誠人さんは、19年卒の学生の就活状況を振り返って、こう話す。

 「19年卒の大学生の就職状況は、18年卒の延長線上にあり、売り手市場が続きました。業種別の動向を見ると、採用人数を減らした銀行を中心に金融志望者が減少し、建設業や福祉関係も労働環境のイメージから厳しい採用環境が続いています。一方、食品業界やメーカーなど、大学生にとってイメージが湧きやすい業種は引き続き人気が高かった年となりました」

 医学部と歯学部の単科大学を除く全大学を対象に大学通信が実施している就職状況調査によると、19年3月卒の平均実就職率は、前年を0.7ポイント上回る89.1%だった。高い就職率を背景として、第1志望群に就職が決まる学生は増えており、就職に対する満足度も高い。リクルートキャリア就職みらい研究所の『就職白書 2019』(18年12月~19年1月調査)によると、就職先に対する満足度について、「非常に満足」と「どちらかというと満足」を合計すると83.0%に達した。

 ただし、第1志望群に受かり、就職活動が成功したことには満足していても、実際に働き始めるに当たっては戸惑いを覚える就活生も少なくなかったようだ。同研究所長の増本全さんがこう話す。

 「終身雇用制の崩壊など働き方が変わる中で、会社の将来性や仕事内容など、入社後の不安を感じる学生が増えているといえます。また就職活動の短期化による情報収集不足や、相互理解が不十分な状態で内々定が出ていることも想定されます。入社後を見据えて、しっかりと企業の情報収集を行った学生は、就職そのものへの納得度が高くなる傾向にあります」

 さて、このような今どきの就活生気質を踏まえた上で、19年卒の大学生の就職状況を各大学別に詳しく見ていこう。全国240大学による「実就職率ランキング」を掲載した。ランキングは規模別(卒業者数)に二つに分け、それぞれ過去10年の経年変化が比較できるようにした。

 「卒業者数1000人以上」では3年連続で金沢工業大がトップ。リーマン・ショック直後で就職状況が厳しかった09年も95.6%と高く、安定的に高い実就職率をキープしている。モノづくりを通して実験や検証を行い、アイデアを形にする「プロジェクトデザイン教育」が、実践力を求める社会の要請に応えている強みがある。2位は昨年の3位から上がった愛知工業大。3位は4位から上がった大阪工業大だ。製造業の採用数の多さを背景として工科系大学が強いのは例年の傾向で、ランキングベスト10のうち4校を占める。

 4位はこの規模の女子大の中で9年連続1位の昭和女子大。同大からの就職者が最も多いのはIT系のトランスコスモスで、前年1位のみずほFGの座を奪ったことが注目される。文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所顧問の夏目孝吉さんは言う。

 「メガバンクの採用状況が女子の就職を変えました。採用減を見越して金融志望者が減り、その分、情報、生活サービス、ITなど新成長分野を目指す意欲的な女子学生が増えたのです。その結果、各大学の企業別の就職者数が変化しました。メガバンクの採用が減っても全体として就職状況が好調なため、女子の就職状況が悪化することはなく、大学全体の就職状況への影響はありません」

 昭和女子大の実就職率は、前年を0.6ポイント上回る97.3%。高い実就職率を維持しながらも、就職先に注目すると変化が見られる。

 ランキングに戻ろう。5位の福井大は昨年の2位から順位を下げたが、この規模の国立大の中では11年連続でトップをキープした。難関国立大に目を転じると、旧7帝大で120位以内に入ったのは、95位の名古屋大のみ。集計中の東大を除き、北海道大が82.0%、東北大が84.6%、京大が78.5%、大阪大が86.2%、九州大が79.0%となった。

 難関大がランキング上位に入りにくいのは私立大も同じ。早慶上智の実就職率は、早稲田大が83.9%、慶応義塾大が86.0%、上智大が84.7%でいずれも120位圏外だった。MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)では青山学院大が53位、明治大が61位、法政大が87位、中央大が93位となった。関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)では、関西学院大が51位、関西大が92位、立命館大が109位にランクインした。難関大は全般的に多様な学生がおり、留学や起業、国家試験などの資格取得準備など、一般企業への就職以外の進路に目を向けている学生が多い。これが実就職率が抑えられている要因となっている。

 もっとも、そういう難関大が大企業への就職に強いことは周知の事実。MARCHのうち唯一ランク外だった立教大(87.9%)は、三菱UFJ銀行30人、全日空28人などと堅調だった。関関同立でランク外の同志社大(87.7%)も、パナソニック44人、三菱UFJ銀行37人など、大企業に多くの学生が就職している。大学生の売り手市場が続き、大学に期待するのは、就職率から就職先に変わっており、難関大はそうした期待に応えている。

 メガバンクの採用減により、この「難関大の主な就職先」の顔ぶれも変化している。各大学からの就職者数が最も多い企業を18年卒と19年卒で比較すると、慶応義塾大が三菱UFJ銀行→東京海上日動火災保険、上智大がみずほフィナンシャルグループ(FG)→アクセンチュア、青山学院大がみずほFG→日本航空、中央大がみずほFG→JR東日本、同志社大がみずほFG→パナソニックなどとなっている。大量採用をしていたメガバンクの採用計画の変更は、ことのほか大きかったようだ。

 「100人以上1000人未満」の大学ランキングは、120大学すべてで実就職率が90%超。就職支援が行きわたる小規模大学のメリットが生きている。ランキングトップの京都看護大は、卒業生全員が就職または大学院に進学。医療系の資格が取れる大学は強く、京都薬科大(2位)、九州栄養福祉大(5位)、群馬医療福祉大(7位)などがランキング上位に並ぶ。理工系大学も、3位の八戸工業大、15位の東北工業大などが上位に入っている。

 ここまで見てきた「実就職率ランキング」で上位に入る大きな要因は求人倍率の高さ。その上で、大学側による学生の支援が不可欠だ。就活コンサルタントは言う。

「どんな大学でも、自分で就活を進められる学生と、後押しがなければ動けない学生がいる。後者に対して効果的な支援をして、取り残される学生が少ない大学の就職率が上がる傾向にあります」

 売り手市場が続き、各大学の実就職率は上限に近づく。それでも伸びるのは、就職が厳しい学生に対する支援の充実があろう。数パーセントと小さなアップも大学の就職支援力の表れなのだ。【大学通信・井沢秀】

*「サンデー毎日」2019年8月4日号から転載 実際の誌面では、より詳しいランキングを見ることができます。

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