SUNDAY LIBRARY

岡崎 武志・評『神戸モダンの女』『新・大阪モダン建築』ほか

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今週の新刊

◆『神戸モダンの女』大西明子・著(編集工房ノア/税別2000円)

 大西明子『神戸モダンの女』は、これが初めての小説とは思えない出来栄え。神戸で生まれ育った著者の義母の人生を、大正、昭和の世相を通して描く。それは堂々たる「女の一生」だ。

 三崎多津子は、山っけのある父と神経症を病む母を持つ。昭和初期にミッションスクールへ通い、英語の授業、バイブル、ダンス、裁縫を含む行儀見習いを身に付け、これがのちに生きる。事務員からダンサーとなり、好きだった青年と結ばれた。しかし、時代はやがて暗雲覆う戦争へ突入。

 緑色の市電、小高い丘の上にある公園、メリケン波止場、「ユーハイム」の喫茶室……モダン都市神戸の風俗がたっぷり登場。多津子は、何度も裸一貫になりながら屈せず、自立する女として洋裁に「生きがい」を見いだす。そのまま朝ドラになりそうだ。

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