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日本文化をハザマで考える

第10回 東アジアの国々の人々が初めて箸を知り、キッシンジャーのように面食らった時

毛沢東(右)とヘンリー・キッシンジャー。奥は周恩来

 箸というものは、東アジアの文化になくてはならない物である。そのため私は何千年も昔から、中国で使い続けられてきたものと思い込んでいた。しかし、最近、エドワード・ワン氏著「箸はすごい」を読んで、箸は思ったより最近使われ出したと知って驚いた。

 何千年もの間、古代中国では、箸は食事をするための主たる道具ではなかったし、それどころか、米も主食ではなかったのだ。10世紀までは、北部中国では黍(きび)が主食で、それを食べる道具はスプーンだった。もしも食べる時に使うとしても、箸は単なる飾り物だった。孔子と彼の弟子は手で食べていたのだ。

 そんな箸が今日のように使われるようになったのには、数々の要因があるようだ。1世紀ごろ、中国人は小麦粉を作り始めた。麺や点心を食べるようになったので、スプーンよりも箸の方が使いやすかった。その後、北部と南部との間で多くの人々が移住し、政府が新しい米の品種の栽培を奨励したせいもあって(米は温暖、湿潤な南部の食べ物であった)、きびとスプーンは米と箸とに取って代わった。そして、米と箸との新しい世紀が始ま…

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ダミアン・フラナガン

ダミアン・フラナガン(Damian Flanagan) 1969年英国生まれ。作家・評論家。ケンブリッジ大在学中の89~90年、東京と京都に留学。93~99年に神戸大で研究活動。日本文学の修士課程、博士課程を経て、2000年に博士号取得。現在、兵庫県西宮市とマンチェスターに住まいを持って著作活動している。著書に「世界文学のスーパースター夏目漱石」。

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