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ブラック・チェンバー・ミュージック

/22 阿部和重 写真・相川博昭

「出るに決まってんだろ」

「どんくらい?」

「今のおまえにとっちゃ悪くない額なんじゃねえの」

「悪くない額」

「返済のたしにはなるだろ」

「どんくらいすか?」

 沢田龍介はセブンスターの火を冷めきった緑茶で消し、そのまま吸い殻じたいを手ばなすと、右手のひとさし指だけを立てるしぐさをしてみせた。これはいっぽんというサインだろう。横口健二はにわかに血のめぐりがよくなるのを感じながら訊(き)いた。

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