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晴レルデ

おもい-つくる/22 ドレスを生きたプロダクトに

水野信四郎さんの作品集から、ドレスに施された精緻な刺しゅう。表紙は5色のバリエーションを付けた=高尾具成撮影

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 2015年、アサヒ精版印刷がまたも常識破りの豪華な作品集を手掛けた。ウエディングドレスデザイナー、水野信四郎さんの作品集は限定100部、お値段5万円。和とじで、箱は水野さんがドレスに使うシルクを巻き、表紙はピンクやブルー、ゴールドなど5種類のカラーバリエーションで華やぎを醸した。もちろん、シマダタモツさんの仕業にほかならない。

     そもそも、最初の話は全然違った、とプロデューサーを務めた渡辺健太さんは振り返る。当時、結婚情報誌の編集長だった渡辺さんは、水野さんの作るオーダーメードのドレスにほれ込んだ。

     「生地や刺しゅう、レースなどがすべて繊細。きちっとした職人を使っていて、刺しゅうならインドや京都の着物職人に発注している。カットのラインなんか、日本では見たことがない」

     「洋服の王様」というウエディングドレスに魅せられ、ドレスメーカーでジバンシーの仕事などを手掛けた水野さんは、約20年前に独立。「日本の式場は8~9割がレンタル。でも僕は一人がきれいになれる服を作りたい」と、相手に合わせてデザインし細部にこだわり抜く。「僕のデザインは古くならない」という絶対的な自信があるから、注文主には「このドレスはビンテージ(年代物)になります」とはっきり言う。

     しかし、レンタルに比べてお値段が高いこともあって、なかなか世間に受け入れられないジレンマを抱えていた。渡辺さんは「もっと水野さんのドレスを知ってもらいたい」とパンフレットを作ろうと提案した。渡辺さんが知り合いのシマダさんにデザインを依頼。そしたら「最初は15~16ページというオーダーやったのが、打ち合わせする度に構想が膨れ上がって」とシマダさんは振り返る。

     このあたり、水野さんに言わせると、「シマダさんがガリガリに凝ってくれて、僕が口出しできなかった」と笑うが、話が進むうちに水野さんには、欧米でのプレゼンテーションに通用する本を作りたいという思いが大きくなっていた。

     手の込んだディテールや、細部への気配りに驚嘆したシマダさんは、ドレスをプロダクト(製品)として見せたいと考えた。そこでファッション専門のカメラマンではなく、「ディーター・ラムスの時代」展で組んだ写真家の奥脇孝一さんに撮影を頼んだ。この狙い通り、ラムス展の時のようにプロダクトのラインの美しさが際立つ写真となった。ドレスを引き立てるため、モデルの顔は仮面で隠した。

     約3年の年月をかけて、やっとのことでページ構成やデザインがまとまったところで、マリさん(築山万里子さん)が「ものすごいきれいで、白や透明も刷れる出力機があるんですけど」とシマダさんに告げた。「悪魔のささやきやった」とシマダさんは苦笑いする。最新鋭の出力機の出現が、この作品集のグレードを上げた。<文・松井宏員/写真・岩本浩伸/デザイン・シマダタモツ>

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