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社説

安倍政権が戦後最長に 安定基盤生かしているか

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 安倍晋三首相の通算在任日数がきょう、佐藤栄作元首相(1964~72年)を超えて戦後最長となる。

     11月には戦前の桂太郎元首相も抜いて明治以降、最も長くなる可能性が高いが、戦前とは制度が大きく異なる。それを考えれば、「佐藤政権超え」は重い意味を持つ。

     国際的にも存在感や発言力が増すことをはじめ長期政権のメリットは少なくない。だが言うまでもなく、政権を維持すること自体が政治の目的ではない。衆参で多数を握る安定した基盤を生かし、国民が信頼するに足る政権運営を続けてきたかどうか、きちんと総括する必要がある。

     佐藤政権時と似ているのは国内経済が比較的安定していた点だろう。

     佐藤政権時は高度経済成長の真っただ中だった。68年には国民総生産(GNP)が当時の西ドイツを抜き米国に次いで世界第2位となり、多くの国民が生活の豊かさを感じ始めていた時代だった。

     一方、今の政権は世界経済全体がリーマン・ショック後の不況から立ち直る時期と重なる幸運にも恵まれた。首相はアベノミクスの成果を再三強調するが、依然、景気回復の実感が乏しい国民が多いのが現実だ。

     佐藤政権は旧社会党の退潮が始まった時期だ。安倍政権も旧民主党政権が瓦解(がかい)した後に発足し、野党のひ弱さに助けられた。

     逆に大きな違いは自民党内事情である。佐藤時代は何人もの首相候補が党内で競い合っていた。派閥政治の弊害があったのは事実だが、党内には活発な議論と緊張感があった。

     ところが今は「安倍1強」で、後継の姿は見えず、党内の議論も乏しい。官僚も萎縮したままだ。

     佐藤氏は沖縄返還を実現したことで歴史に名を残した。それを意識しているのだろう。安倍首相も「戦後日本外交の総決算」を口にする。

     しかし北方領土問題の解決は遠のき、北朝鮮問題も糸口が見えない。日韓関係は悪化し、佐藤政権時の65年に結ばれた日韓基本条約が揺らぎかねない事態に陥っている。

     首相の宿願は憲法改正だろう。しかし政治的遺産を残すために強引な国会運営をすべきではない。大胆な金融緩和の反動は来ないか。財政をどう立て直すのか。負の遺産を残さないことに力を注いでもらいたい。

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