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創作の原点

芸術・文化の世界で活躍する著名人の方々に、それぞれの「創作の原点」を聞いた。

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創作の原点

写真家・嶋田忠さん 野鳥の命の瞬間、写し止める

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写真家の嶋田忠さん=東京都目黒区の東京都写真美術館で2019年8月2日、竹内紀臣撮影
写真家の嶋田忠さん=東京都目黒区の東京都写真美術館で2019年8月2日、竹内紀臣撮影

 コバルトブルーのカワセミは川面に急降下し、カエルをくわえたアカショウビンは水しぶきを上げ飛び立つ。ヤマセミはくちばしを凍らせ水墨画のような冬景色にたたずみ、シマエナガは粉雪をかぶりながらかわいい顔を傾ける。

 動あり、静あり。写真家の嶋田忠さん(70)は半世紀以上、野の鳥が見せるあらゆる一瞬をカメラに収めてきた。「子供のころ、捕まえたくて必死に鳥を観察していましたが、ハンティングの行為には本能的な快感が宿っています。当時との違いは、今はシャッターを押しているということだけ。すべて鳥たちから教わりました」。大規模な個展「野生の瞬間 華麗なる鳥の世界」が開かれている東京都写真美術館(目黒区)の一室で、自らの原点を語り始めた。

 江戸時代から続く埼玉の農家の生まれ。ケヤキやカシの大木がかやぶき屋根の家の周囲を囲み、畑の先には広大な雑木林が控えていた。「住宅が建ち並ぶ現在から思うと、信じられない世界でした」と懐かしむ。地にはイタチやキツネが走り、空にはメジロやイカルが飛ぶ。自宅で飼っていたカナリアや文鳥より、ウグイスやシメといった野鳥におのずと興味が向いた。ねぐらはどこか。餌を求めてどのコースを飛ぶか。姿を追った。

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