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社説

米露のミサイル開発 東アジアの安定を損なう

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 米国が地上発射型の中距離巡航ミサイルの発射実験に踏み切った。短中距離ミサイルの製造や発射を禁じた米露の中距離核戦力(INF)全廃条約が失効した直後である。

     1988年の条約発効以降、こうした実験は約30年にわたり実施されていなかった。新たな軍拡に米国がかじを切ったと言わざるを得ない。

     これを受けてロシアは短中距離ミサイル開発を再開する対抗措置を表明した。ロシアに対する「新たな脅威だ」とプーチン大統領は語った。

     国連安全保障理事会の緊急会合では米露による非難の応酬になったという。ミサイル開発競争が激しくなる状況を強く懸念する。

     条約の失効は、ロシアが条約に違反する射程の新型ミサイルを配備していると米国が主張し、一方的に破棄を表明したのがきっかけだ。

     しかし、米国の発射は条約失効からわずか16日後だ。以前から開発を進めていたと考えられる。ロシアだけを責められるものではない。

     米国が発射したのは、海上発射型巡航ミサイル「トマホーク」を地上型に改良した新型で、核弾頭ではなく通常弾頭を搭載するとされる。

     東欧に配備され、日本も導入する陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の装置からも発射できる実用的なものという。

     懸念されるのは、こうしたミサイルをアジアに配備したいとの考えをトランプ米政権が表明したことだ。中国への抑止力とする狙いだろう。

     条約の対象外だった中国は中距離ミサイルの開発を進め、米領グアムに到達する新型ミサイルを多数保有している。米国にとっては脅威だ。

     だからといって米国がミサイル配備を進めれば、中露や北朝鮮が対抗措置をとるに違いない。東アジアの緊張は高まり、安定が損なわれる。

     配備の時期や場所は未定というが、オーストラリアはいち早くアジア配備に否定的な姿勢を示した。受け入れが簡単に進むとは思えない。

     軍拡競争に走った冷戦時代から学ぶべき教訓があるはずだ。核戦争の恐怖から米ソ首脳の決断で結実したのがINF全廃条約だった。

     必要なのは、軍縮への取り組みである。まずは米露が主導し、中国が加わる軍縮交渉の実現が望ましい。その後押しを日本もすべきだ。

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