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アートの扉

マリアノ・フォルチュニ 服飾デザイン 文豪も称賛、風格の美

「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展」の会場風景=東京・丸の内の三菱一号館美術館で根岸基弘撮影

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 「こんにちの衣装はどれもそれほどの風格を持ちあわせないが、フォルトゥーニのドレスだけは例外である」(マルセル・プルースト「失われた時を求めて10」、岩波文庫)。

     20世紀を代表するこの大長編小説にも繰り返し登場するマリアノ・フォルチュニ(フォルトゥーニ)の服。文豪の念頭にあったのは、上掲写真のような衣装だろうか。

     代表作とされるのが中央左の「デルフォス」。繊細なプリーツを施したシンプルなドレスで、基本的な装飾は縁に付けた重しのガラス玉だけ。写真の服は黒だが、さまざまな色に染めた絹地で作られ、フォルチュニが住むベネチアから遠く離れた米国でも人気を博した。考案した1907年ごろから死去するまでの40年間、デザインはほぼ変わらず、でも売れ続けた。

     右隣のフード付きケープ(30年代)はピンク色の地にザクロや草花柄が鮮やか。一見、重厚な織物に見えるが、実は型押しのプリントなので羽織ったら意外に軽いはずだ。

     共通するのは機能性と知識に裏打ちされた美しさ。古代彫刻から発想したデルフォスはプリーツがしなやかに体を包み、窮屈なコルセットから女性を解放した。プリントの服は古今東西の文様を参考にしており、客の美意識を満足させる一方、制作時間は短く、価格も抑えられた。

     フォルチュニ自身はファッションデザイナーを名乗らず、画家と称した。「社会で機能する美を追究する発明家、企業家の側面もあった」と三菱一号館美術館の阿佐美淑子主任学芸員は話す。会場には彼の多彩な作品が並び、希代のクリエーターの情熱を伝えている。【永田晶子】


     ◆プロフィル

    Mariano Fortuny(1871~1949年)

     スペイン生まれ。パリで絵画を学び、イタリアに移住。絵画、版画、写真、服飾、舞台装置の発明など幅広い創作活動を展開し、「ベネチアの魔術師」と呼ばれた。


     ◆インフォメーション

    三菱一号館美術館の地図

    マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展

     10月6日まで東京都千代田区丸の内の三菱一号館美術館。月曜休館(9月16、23日は開館し翌日休館、30日は開館)。問い合わせはハローダイヤル(03・5777・8600)。

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