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社説

貿易協定で基本合意 米国のごね得ではないか

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 安倍晋三首相とトランプ米大統領が会談し、日米貿易協定に向けた交渉で基本合意した。今後詳細を詰めて来月の会談で署名するという。

 焦点となったのは、日本が輸入する農産物と米国が輸入する自動車の関税をどこまで下げるかだった。

 米国が強く求めていた日本の農産物関税引き下げは、米国が離脱した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の水準内とすることで合意した。当然の判断である。

 米国の要求の背景には、米国抜きのTPPが昨年末発効し、米国産農産物の輸出がオーストラリア産などより不利になったことがある。だが米国がTPPを上回る関税引き下げを勝ち取ればTPPに残った国より有利になる。これでは本末転倒だ。

 問題は、TPPで合意していた米国の輸入車関税の撤廃が今回見送られたことだ。米自動車産業の雇用維持を訴えるトランプ政権が抵抗し、日本も要求を棚上げしたようだ。

 自由貿易の目的は関係国が市場を開放して貿易を活発にし、互いに経済を底上げすることだ。日本は農産物関税を下げるのに、米国はTPPを離脱したから輸入車関税の撤廃も見送りというのは身勝手すぎる。

 なのにトランプ政権は主張を押し通すため、日本車への高関税発動をちらつかせてきた。日本政府にも高関税回避が優先との見方があった。

 今回の首脳会談で安倍首相が貿易協定とは別枠となる米国産トウモロコシの購入計画を表明したのも、トランプ氏の期待に応え、高関税を避けたいとの思惑があったのだろう。

 それでもトランプ氏は高関税の検討取りやめを確約していない。さらなる譲歩を引き出す材料として温存しているのなら極めて不当だ。

 そもそも今回の協定には必然性がない。TPPから一方的に離脱したトランプ氏が、米国に都合のいい協定を結ぼうと、日本に交渉入りを迫り、昨年9月の日米首脳会談で合意したものだ。結局は米国が狙い通りに得をしたのではないか。

 両首脳が基本合意したと表明しているのに、協定の内容が公表されていないのもおかしい。安倍首相は「両国の経済に大きなプラスになる」と強調したが、説得力を欠く。

 国益にかなう合意となったのか。首相はきちんと説明すべきだ。

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