昭和天皇「拝謁記」報道を巡って 注意深い読み解きが必要=古川隆久・日本大教授

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NHKで公開された初代宮内庁長官、田島道治の「拝謁記」など=東京都渋谷区で2019年8月19日午前10時20分、梅村直承撮影
NHKで公開された初代宮内庁長官、田島道治の「拝謁記」など=東京都渋谷区で2019年8月19日午前10時20分、梅村直承撮影

 このたび、初代宮内庁長官の田島道治が昭和天皇の肉声を詳細に記録した「拝謁記」の一部が、ご遺族の了解を得て8月16日以降、NHKのニュースや報道番組、新聞各紙でも報じられた。報道にあたって内容の分析に携わった研究者の一人として、若干の所感を述べたい。

 この史料は1949年2月から53年12月の約5年弱にわたって、田島が昭和天皇との対話を詳細に記録した史料で、この時期においてこれだけ詳細に昭和天皇の発言を記録した史料は初出である。NHKは特設サイトでそのハイライトというべき部分を公開している。その文面の様子から、田島が対話内容を忘れないうちに書き留めたことがわかる。

 この史料によって、この時期の昭和天皇の言動について、従来の研究によってある程度わかっていた議論が裏付けられただけでなく、新しい事実もいくつか見つかり、全体として、象徴天皇制の確立過程における昭和天皇の葛藤が詳細に明らかになった。

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