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文芸時評

8月 私のおすすめ 倉本さおり(書評家)

(1)ジェニファー・イーガン著、中谷友紀子訳『マンハッタン・ビーチ』(早川書房)

(2)ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)

(3)岸政彦『図書室』(新潮社)

挫折経て得る言葉

 大人になるということは、世界の複雑さに気づくことでもある。見えるものの数のぶんだけ恐れも不安も膨らんでいき、手足や感覚は縮こまってしまう。だが、そうした挫折や無力感を含み込んでこそ、言葉は真実をようやく象(かたど)る。

 (1)は、マフィアと銀行家が暗躍する第二次世界大戦下のニューヨークを舞台に、差別と偏見、貧富の差による断絶を緻密かつ多面的に描き出した屈指の力作。海に魅せられ、男性でも過酷な仕事である潜水士の世界に飛び込んだヒロインをはじめ、出自や環境、ジェンダーの壁に阻まれながら懸命に生きる人びとの息づかいが濃(こま)やかに浮かび上がる。

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