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社説

年金財政の検証 見通しに甘さはないのか

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 厚生労働省は公的年金の財政検証の結果を公表した。

 年金の給付水準は現役世代の手取り収入と比べた「所得代替率」で表す。政府は厚生年金で代替率が将来も50%超になると約束している。

 検証では中間的ケースの場合、夫婦モデル世帯で28年後も50・8%の水準を確保できる結果となった。

 少子高齢化で給付水準は今より2割近く目減りするが、50%ラインを確保することにより最低限の生活費は保障される。年金制度は今後も維持できるという。

 財政検証は2004年の年金改革で導入された。「年金の健康診断」として、5年ごとに行われる。

 では、検証の結果は安心できるものなのだろうか。

 従来は楽観的な経済状況を前提にする傾向がうかがえた。今回は、過去に比べると控えめな経済指標に基づいたと説明している。

 だが、子細に見ると、中間的ケースでたとえば実質賃金上昇率を1・1%と想定しているが、17年度までの4カ年の実績は平均でマイナス0・6%である。

 安倍政権が経済再生に注力した結果がこの数字である。なのに、これを上回る上昇率を前提に置くことは妥当なのだろうか。検証作業に関わった有識者の一人は「代替率は50%を下回る可能性が高い」と語る。

 試算は楽観できるものではない。年金財政を底上げするために、支え手の層を厚くする改革を進める必要がある。

 検証では、非正規の労働者を厚生年金にもっと加入させた場合の効果を試算した。改善効果は大きいとの結果が得られた。

 年金保険料の半分を負担する企業側に反対論が根強いが、働く人の老後を日本社会全体で支えるという発想を広げていくべきだろう。

 非正規が長い「就職氷河期世代」が厚生年金に入りやすくもなる。

 国民年金の加入期間延長も選択肢だ。社会全体が長く働く時代に入っているのに、加入期間が原則60歳までなのは整合性を欠く。

 前回14年の財政検証は6月に公表されたが、今回は参院選後になった。遅れた理由は判然としない。

 与野党は検証を基に、国会で十分に議論する必要がある。

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