メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

記者のこだわり

「病気の妻を残して帰れない」 来日31年男性の叫び 外国人政策に翻弄されて

記者会見するモハメド・サディクさん=東京都内で2019年8月19日午後1時15分、金子淳撮影

 違反者は無期限で収容できる。人道的配慮から「仮放免」となっても、働いて生活費を稼ぐことは禁じられ、県外への移動にはその都度、許可が必要となる。定期的な出頭も義務づけられ、その場で突如、再収容される可能性もある――。遠い外国の話ではない。現代の日本で、不法滞在の外国人に対して行われている対応だ。30年以上日本に暮らすパキスタン人、モハメド・サディクさん(55)も、そんな扱いを受けてきた仮放免者の一人。8月中旬、国に対し在留特別許可を求める訴えを東京地裁に起こした。彼の人生をたどると、不条理にさえ思える日本の外国人政策が浮かんできた。【東京社会部・金子淳】

 「残りの人生、妻と一緒に日本で幸せに暮らしたい」。8月19日、東京都内で行った提訴後の記者会見。サディクさんがささやかな願いを口にすると、壇上に並んで座っていた中国人の妻、劉蘊傑さん(59)が嗚咽(おえつ)した。白いハンカチを握りしめる劉さんの右腕は、左腕の倍ぐらい太い。5年前に患ったがんの治療による後遺症で、右腕だけむくんでいるのだ。

 サディクさんが帰国を拒む最大の理由は、闘病を続ける劉さんの存在だ。抗がん剤治療は終わったが、再発のリスクを抱えるうえ、後遺症や合併症の治療が続く。今もめまいや発熱が絶えず、主治医からは「何かあれば夜中でもすぐに救急車を呼ぶように」と言われている。そんな中、7月に出入国在留管理庁から「サディクさんを8月第5週ごろに強制送還する」との通知が届いた。

この記事は有料記事です。

残り4054文字(全文4678文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 国民民主「10万円再給付を」「消費税5%に」追加経済対策案 

  2. 京アニ放火殺人事件 逮捕された青葉容疑者「ガソリンなら多く殺害できる」

  3. 摂津市、事務ミスで1500万円過大還付 60代男性「使ってしまい、返還困難」

  4. 「コロナ緊急対策予算」これだけの不要不急 (上)その事業、いま必要? 不要不急な政府「緊急経済対策」の実態 新型コロナ

  5. 大阪モデル基準変更 吉村知事「誤解与えないため」、山中さん「信頼揺らぐ」

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです