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余録

どんな錠前でも開ける鍵…

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 どんな錠前でも開ける鍵、使っても戻る不思議な金貨、広げれば食べたい料理が出てくるナプキン、望みをかなえる魔法の草……どれももらえるが、主人公が選んだのは金貨がどんどん出てくる幸運の金袋だった▲その代価は自分の影を譲り渡すこと。こう言えばシャミッソーの小説「影をなくした男」だと気づいた方もおられよう。奇妙な灰色の服の男に影を持ち去られた主人公は、すぐに影がないと人間扱いされないことに気づいて後悔する▲灰色の男は悪魔で、狙いは人間の魂だが、結末は小説で読んでいただきたい。物語では影は魔法の金袋と交換されたが、今や魔法のようなサービスを利用するうちに知らぬ間に自分の「影」--個人情報を譲り渡していることがある▲巨大IT企業などによる個人情報の取得や利用を規制する指針案が公正取引委員会から公表された。ネット通販や検索、ソーシャルメディアなどの利用者の個人情報の不当な収集・流用に独占禁止法の歯止めをかけようというものだ▲利用目的を明示せぬ情報収集、規約にないデータの取得や第三者への提供、サービスの対価以上のデータ要求……これらを独禁法違反の「優越的地位の乱用」とする指針案である。違反にはその行為の停止や課徴金納付が命じられる▲ルール作りで出遅れていた日本でもようやく緒についた個人のためのデータ保護である。ITビジネスの開く未来には期待したいが、勝手に売買された自分の影があちこちでうろつく新時代はごめんだ。

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