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かつて「就職氷河期」(おおむね1993年~2004年卒)で足止めをくらい、希望を奪われた人たちは現在、30代半ばから40代後半。今も多くが非正規の仕事を繰り返すなど、苦悩を抱え、生き抜いている。
氷河期契機に非正規シングル女性に光当たった ノンフィクションライター・飯島裕子さん
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「『家』や『家族』に隠れ、可視化しにくい」と言われる女性の貧困。自身も就職氷河期世代で、「ルポ貧困女子」の著書があるノンフィクションライターの飯島裕子さんは「氷河期があったからこそ非正規雇用かつシングルなどの女性の窮状に光が当たった側面もある」と指摘する。【牧野宏美/統合デジタル取材センター】
見えにくい女性の貧困
女性は男性と比べて相対的貧困率が高く、賃金も低い。首都大学東京の阿部彩教授が「国民生活基礎調査」のデータをもとに相対的貧困率を性別、属性別など詳細に算出したところ、20~64歳の男性の1人暮らしの貧困率(2015年)は21・1%なのに対し、同じ区分の女性の貧困率は29・0%でした。「民間給与実態統計調査結果」(17年)によると、非正規雇用の男性の年収は229万円、女性は150万円。格差は明らかでも、男性の貧困が不安定雇用の問題に直結して分かりやすいのに対し、女性の貧困は見えにくくなっています。
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