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墓地や隣接の公園に野犬の群れ、どうしたら……

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カメラを向けると、群れをなして公園内を歩き始めた野犬=山口県周南市の周南緑地東緑地公園で2019年8月13日午後6時22分、中村美奈子撮影

 墓地や公園に野犬が頻繁に出没し、地元自治体が対応に追われている山口県周南市。住宅地近くで実際にどのように生息しているのか。お盆の時期に数日間、現地に足を運んでみると、野犬の行動パターンが少しずつ見えてきた。

 野犬が特に多いのは、周南市徳山の市営大迫田共同墓地と、隣接する周南緑地東緑地公園の一角。地元の人によると、野犬は十数年前から出没するようになったという。

野犬が寝そべる近くでサイクリングをする男性=山口県周南市の周南緑地東緑地公園で2019年8月13日午後6時17分、中村美奈子撮影

墓参者やランナーに動じず

 日が陰った8月12日午後6時すぎ、東緑地公園の駐車場に野犬が3頭うろついていた。人が車から降りてきても逃げ出す気配はない。墓地に向かう途中のグラウンドにも2頭いて、数メートルわきをランナーが走っていく。

駐車場に出没した野犬。車から人が降りてきても動じない=山口県周南市の周南緑地東緑地公園で2019年8月12日午後6時24分、中村美奈子撮影

 墓地は公園から続く坂道を上った高台にある。野犬は、墓掃除をする人たちのそばを歩いたり、通路にたたずんだりしている。人が何もしなければほえもせず、近づいてもこない。墓参に来た人も、犬が目の前を通り過ぎてもほぼ騒がない。

 ただし、ほとんどの野犬は、カメラを向けると立ち止まってこちらを凝視する。黙って様子をうかがい、対面した人との距離をおおむね4、5メートル以上に保つ。それ以上に近づくと、すぐ後方に退いた。

 午後7時すぎ、墓地入り口の階段付近に寝そべる野犬の群れを、駐車場を挟んで撮影していると、野犬たちが「ワンワン、ワンワン」とほえ始めた。黒い犬と茶色い犬の2頭が、走ってこちらに近づいてくる。黒い犬が尾を立てて「ウー、ウー」とうなっては立ち止まり、また「ウー、ウー」とうなって記者の約3メートル手前まで近づいてきた。さすがに危険を感じて撮影をやめると、野犬はしばらく記者を見ていたが、近づいてこなくなった。後で気づいたが、陰にいた子犬を守るための威嚇だったようだ。

野犬の群れの中を通り過ぎる男性=山口県周南市の周南緑地東緑地公園で2019年8月13日午後6時15分、中村美奈子撮影

午後6時半ごろからすみかへ戻る

走り寄って記者に向かってほえる野犬=山口県周南市の市営大迫田共同墓地で2019年8月12日午後7時18分、中村美奈子撮影

 墓地の斜面の茂みに、野犬のすみかが2カ所あった。野犬は午後6時半ごろから断続的にすみかに戻っていく。戻ると集団でほえ始め、「ワンワン、ワンワン」と大声が響き渡った。この日は1カ所で長時間続き、かなりうるさかった。

 13日午後6時ごろ、野犬十数頭が墓地の斜面下にある公園の一角にたむろしていた。カメラを向けると、一斉に立ち止まって記者を警戒する。やがて群れをなして約10メートル離れたブランコの後方に移動し始めた。すぐ隣のアスファルトの道路を、ウオーキングやランニングをする人たちが横目で見ながら通り過ぎる。野犬の群れはグラウンド近くの複合遊具の奥で折り返し、たむろしていた場所に去っていった。道路を挟んだ草の上にも野犬が4頭いて、「ワン、ワン」とほえる。グラウンドでは、野犬を気にせず親子連れがサッカーを始めた。

 ジョギングをしていた市内の会社員の女性(48)は「犬とはお互い距離を取っています。運動するのに一番いい場所なので、犬がいてもジョギングに来ます。一度野犬がすぐそばまでついてきたことがあり、怖くて乗ってきた車に飛び乗りました。行政は対策を取ってほしい」と訴える。

 周南市のホームページによると、今年度は5月末現在、市内で野犬に囲まれたり、追いかけられたりした被害が9件、ペットなどの被害が1件、物損が1件起きている。

 野犬の捕獲は狂犬病予防法に基づき、山口県が行う。県周南環境保健所によると、周南市での捕獲頭数は過去5年間500頭以上が続き、昨年度は750頭。捕獲用のおりを設置しているほか、保健所の職員が毎日パトロールし、網で捕獲しているという。

 対策強化のため、県や市、警察が連携して「周南地域の野犬問題に関する連絡協議会」を7月に設置した。8月からパトロールの職員を2人から4人に増やし、おりも1基増やした。県と市が協力して緑地公園の草刈りやパトロールに取り組む。保健所によると、野犬が隠れる雑木林が多く、えさを与える人もいるため、目撃情報は一向に減らない。

公園の入り口近くのあずまやに、野犬がえさをもらいに集まる=山口県周南市の周南緑地東緑地公園で2019年8月16日午後6時、中村美奈子撮影

 16日午後6時前、公園入り口のあずまやに、野犬が次々と集まってきた。黒いTシャツとズボン姿の中年男性がえさを放り投げている。犬は黙ってほおばり、去っていく。近くに「野犬にエサを与えないでください」と市の立て札があるが、男性はお構いなしだった。

 午後7時すぎ、暗くなってキャッチボールやランニングをする人がいなくなった後、グラウンドに野犬7、8頭が現れて寝そべり始めた。解決の決め手も乏しく、地元の苦慮もまだ続きそうだ。【中村美奈子】

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