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社説

文化財の防火対策 関心を高めることが大切

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 世界文化遺産に登録されているパリのノートルダム大聖堂の火災が、いまも人々の記憶に残っている。木造の歴史的建造物が多い日本は、防火対策に万全を期す必要がある。

 文化庁はノートルダムの火災を受けて、国宝などの防火設備などについて緊急調査を実施した。それによると、世界遺産または国宝に指定されている建造物799棟のうち約2割で、老朽化による消火設備の機能低下の恐れがあることが判明した。

 文化財は人類共有の財産だ。国は文化財の保護と活用の両輪を打ち出している。外国人観光客が増加するなか、貴重な観光資源でもある。

 安全面からも万が一のことがあってはならない。設備や防災体制を見直し、意識を喚起することは国の責務でもあろう。

 日本では1949年に法隆寺金堂の壁画が焼損したのをきっかけに翌年、文化財保護法が制定され、防火意識が高まった。

 国内には、奈良県の「法隆寺地域の仏教建造物」や、兵庫県の「姫路城」など19件の世界文化遺産があるが、登録後に大きな火災は発生していない。とはいえ、2012年には岡山市の国指定重要文化財の金山寺本堂が全焼した。

 国宝など指定文化財の所有者に対し防災設備の半額を補助する事業もあるが、近年は国の補助金が先細る傾向にあった。

 文化財の防災対策を促進するため文化庁は、来年度予算の概算要求に約80億円を盛り込んだ。今年度予算のおよそ4倍にあたる。

 防火対策の柱は、自動火災報知機や、初期消火のための消火栓などの整備や更新だ。焼失した場合に備えて設計図や写真のデジタル保存などを進める。特に世界遺産や国宝は、早急な対応を図るという。

 予算の充実が図られることで、文化財保護が進むことを期待したい。

 世界遺産や国宝が重視されるのは当然だろうが、一方で未指定を含む地域の文化財がなおざりにされることがあってはならない。地域に暮らす人々の心のよりどころでもある。

 そのためにも文化財の意義や歴史的な価値の発信につとめ、市民の関心を高めることが大切だ。

 文化財は一度失ったら、二度と元に戻すことはできない。

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