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社説

予算要求最大の105兆円 増税の痛みにつり合わぬ

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 2020年度予算に対する各省庁の概算要求が締め切られ、要求総額は過去最大の105兆円規模に上った。安倍政権の歳出拡大路線を一段と際立たせるものである。

     しかも来月の消費増税に伴う景気対策は別枠で計上される。19年度に続き、100兆円を上回る超大型予算が編成されるのは確実だ。

     国の借金残高は1000兆円を超す。今の税収も60兆円強と予算をとても賄えず、歳入の3割以上を国債に頼る。増税の本来の目的はこの膨大なつけ回しを減らすことだ。

     増税で国民に痛みを求める以上、政府には、借金漬けから脱する道筋を明確にする責任がある。なのに歳出膨張に歯止めを掛けられないようでは、増税の説明がつかない。

     焦点の一つは、予算の約3分の1を占める社会保障費だ。高齢化に伴う伸びは5300億円とやや緩やかだが、終戦前後の出生数が少なかった特殊要因による。

     22年度からは団塊の世代が75歳以上になり始め、社会保障費も急増する。薬価引き下げなどによる帳尻合わせに終わらせず、給付と負担を巡る踏み込んだ見直しが急務だ。

     防衛費の要求額も5・3兆円と過去最大だ。厳しい安全保障環境が理由だが、安倍政権での優遇ぶりは突出している。米国製の高額兵器など費用対効果の吟味が欠かせない。

     さらに気になるのは公共事業費だ。国土交通省の要求額は6・3兆円と2割も増えた。防災に重点を置いたというが、従来型の道路整備なども目立つ。

     別枠の増税対策も、19年度と同様に公共事業費が柱となりそうだ。

     景気への目配りは大切だ。だからといって、野放図な歳出拡大が正当化されるわけではない。

     健全化の指標である基礎的財政収支を巡っては、内閣府が7月に示した見通しが従来より悪化した。高成長による税収増を前提にしたものだ。それだけに歳出抑制が重要であることがはっきりしたはずだ。

     今回、増税による歳入増を当て込んで財政規律を緩めているのなら論外だ。国民の将来不安が高まり、かえって消費が抑えられてしまう。

     安倍晋三首相は甘い成長予測に頼るのではなく、歳出の抑制に本格的に取り組むべきだ。

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