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まずは「楽しい!」「できた!」から スポ根はアウト 令和流「野球好き養成ギプス」は

「ゼロポジション」の投げ方。まず前に腕を伸ばす=川崎市内で、中村有花撮影

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 子どもに野球を楽しんでもらうための鍵は、未就学児へのアプローチにある。比較的、早期から始められる水泳やサッカーとは違い、野球は「投げる」「打つ」などいくつもの役割があり、始めるにはハードルが高いからだ。それでも、ボールを投げたり、捕ったりすることは幼児からでもできる。目指すは「楽しいことが、野球だった!」。そのポイントをプロ野球・DeNAのスクールコーチ、篠原由緯子さん(27)に伝授してもらった。【中村有花】

 まず、篠原さんは「ちゃんとしたボールを投げて、バットで打って、ダイヤモンドを走って、というだけが野球ではない。例えば、紙を丸めたボールを投げるだけでもいい。投げたり、打ったりして『楽しい』と感じれば、それが、野球を続けるきっかけになる」と言う。

手を組んだまま、頭の後ろに持っていく。この肘の高さがゼロポジションの基本になる=川崎市内で、中村有花撮影

 相手をする親が「野球を教える」のに対する考え方を変えるのが第一歩だ。DeNAのスクールでは、小学1~2年のクラスでもゴムボールを使う。家の中なら、新聞を丸めたものでも十分。丸くて軟らかければ何でもいいのだ。

①投げる

ゼロポジションの位置から投げる。最初はどの方向に投げても構わない=川崎市内で、中村有花撮影

 「肩や肘の障害を予防するため、負担の掛からない位置から投げることが大事」と篠原さん。スクールで教えているのが、「ゼロポジション」という投げ方だ。体の前に腕を伸ばして手を組み、そのまま後頭部に持っていく。そうすると自然と肘の位置が高く上がり、そこからボールを投げる。

ゼロポジションの位置から的に向かって投げる。投げる手と反対の足を前に出し、ボールを持っていない手で投げる方向に向かって指をさす=川崎市内で、中村有花撮影

 子どもにとって、「体をひねる」動きは意外と難しい。例えば、捕手に投げるには「ひねる」作業が必要となる。最初は捕手側ではなく、そのまま体の前に投げるのでオーケー。チェックポイントは肘を高く上げた位置からボールを投げ下ろすことができているかどうか。下がった位置から投げるとけがにつながる。この感覚を体に覚えさせることが大事だ。

ストラックアウトのような的を作ることも有効=川崎市内で、中村有花撮影

 次のステップは、投手でいえば捕手(目標)に向かって投げる。まず、投げる腕とは反対の足(右投げなら左足)を目標の方向に踏み出す。次に、ボールを持っていない手で投げる方向に向かって指をさす。そして、指さす方向に、「ゼロポジション」の位置からボールを投げる。壁に的になるようなシールを貼ったり、前にいる人の後ろにゴミ箱などを置いて「ここに入れてごらん」と遊び感覚でやることも大事。目標はできるだけ高い位置に。

②キャッチボール

 初めはグラブを使わず、素手から。篠原さんは「『高さ』だけは気をつけてほしい。私が打席に立った時、背の高い投手が投げるのと、低い投手が投げるのでは、印象や圧迫感が全然違った。それと同じで、子どもにとって上から投げると、ボールが降ってくる感覚なので、すごく怖く、どうしても構えてしまう」。転がしたボールやワンバウンドで投げたボールを捕ることも立派なキャッチボールになる。

 ボールを捕る時は、「ワニさんの口」。スクールで実施している幼稚園訪問では、手のひらを重ね「ぱくっ、と口を開ける」ように手を開き、「食べるように」ボールを捕ることを教えている。「子どもたちが連想しやすいように伝えれば、吸収しやすい」

③グラブ

 おもちゃのグラブや、子ども用のグラブは合皮製が多く、硬い。プロの選手のようにかっこよくボールを捕りたくても、手が小さいのでなかなかつかむことが難しい。篠原コーチは、硬いボールを入れてなじませたり、ボールをグラブに入れて縛っておいたり、自宅でグラブを「育てる」ことを勧める。「素手で軟らかいボールをつかむ感覚を覚えることも大事」だ。

④ひねる・走る

手本を見せる元選手の鈴木尚典コーチ(左奥)=川崎市内で、中村有花撮影

 おもちゃのバットを体の前で右左に振るだけで「ひねり」の練習になる。スクールではリズムトレーニングも取り入れる。走る練習にも「リズム」は重要。「今の子どもたちの課題は『ベタ足』」と篠原さん。プロ野球選手が試合前のウオーミングアップでやっているように、音楽やリズムに合わせてトントンと走るだけで、足の使い方が変わる。

⑤最後に

DeNAベースボールスクールの子どもたちが基本のポーズを練習=川崎市内で、中村有花撮影

 篠原さんは「難しい言葉で言われ、理解できていなくても、『うん、うん』という子どもがいる。わかりやすくて身近な言葉をチョイスして伝えてほしい」と強調する。今の子どもたちは普段から野球をテレビで見る機会も少ないため、スクールで「ベースランニング」をするときも、「赤色(一塁)走って、青色(二塁)走って、緑(三塁)走って、黄色(本塁)に戻ってくる」と教えることもある。

 一緒に遊ぶ時は「怒らないこと」。「子どもたちは、手足が短く、筋肉も発達していない。ひねることもできない。その子どもに、『私はこう教えられてきた』、『こうやって投げてきた』から、『こうしなさい。ここに足を出しなさい。こっちに投げて』と言っても楽しくない。

 まず、大人が楽しんでほしい。子どもたちは今日言ったことは、明日忘れているかもしれないが、『楽しかった』気持ちは忘れない。『お母さんとボールを投げたのが楽しかった』というのがずっと残れば、続けてくれるし、そこで初めて技術がついていくと思う」と篠原さん。「お父さん、お母さんにほめられることが子どもたちの一番のモチベーション。人と比べての『できる』より、我が子の昨日と比べて『できた』ことをしっかりほめてあげて」と話した。

教えてくれたコーチ 篠原由緯子さん

 中学からソフトボールを始め、広島・安田女子高、東海大でもソフトボール部に所属。投手として全国の舞台で活躍した。大学で中学・高校の教員免許(保健体育)を取得。野球の楽しさを伝えたいとDeNAのスクールコーチの道に進み、現在は年中、年長、小1、2年生年代のクラスを受け持つ。

 DeNAベースボールスクールの指導方針は「個別性」、「障害予防」、「楽しさ」。肘や肩を痛めない投げ方や走り方などを指導しながら、野球の喜びや楽しみを伝えている。スクールでは、元横浜(現DeNA)の選手だった鈴木尚典さん、島田直也さんらもコーチを務める。

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