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武田 砂鉄・評『センス・オブ・シェイム 恥の感覚』酒井順子・著

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「恥ずかしさ」をひとくくりにできない

◆『センス・オブ・シェイム 恥の感覚』酒井順子・著(文藝春秋/税別1400円)

 ほとんど見ないフェイスブックを時たま立ち上げると、これまで3回くらいしか会ったことのない中年男性の夕食の写真が目に入る。会った回数の何十倍も、彼の夕食の写真を見ている。毎度、「あんたの夕食なんて、どうでもいいよ」と思う。人に見られる価値のあるものだと思っている、その自意識を想像し、恥ずかしくなってくる。

 著者は、SNSというシステムによって、「恥の感覚」が「変わった」のではなく「掘り起こされた」のではないか、と指摘する。「みんなこんなに自慢したかったのか!」、まったくそう思う。世間にどう見られているかばかりを気にし続ける社会で、一応知っている人だけが見ているという環境下にドバドバ漏れ始めた自慢を眺めつつ、「恥」の正体を探し当てる歩みが始まる。

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