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毎日新聞

山田拓朗選手=東京都品川区で2019年1月21日、佐々木順一撮影

パラアスリート交差点

競泳・山田拓朗「恐れない」世界選手権、狙うは日本新記録

 パラ競泳の世界選手権に出場するため、ロンドンに来ています。パラ競泳の世界選手権は4年に1回の時期もありましたが、現在は2年に1回開かれています。特に重要なのは、パラリンピック前年の世界選手権です。結果を出せば「自分はいい位置にいる」というモチベーションにつながります。翌年のパラリンピックでライバルとなる選手にプレッシャーを与えることもできます。

     2016年のリオデジャネイロ・パラリンピック前年に英国のグラスゴーで開かれた世界選手権では、男子50メートル自由形(運動機能障害S9)で2位に入り、結果的にリオ大会の銅メダルにつながったと思っています。パラリンピックの前年は各国の選手たちも本番並みに仕上げてくるので、対戦が楽しみです。

     今回の会場は、ロンドン五輪・パラリンピックの水泳会場だったプールです。新国立競技場の旧計画のデザインを担当したザハ・ハディドさん(故人)が設計した建物だそうです。僕もロンドン大会で泳ぎましたが、とても泳ぎやすいプールでした。健常者競泳の男子100メートル平泳ぎで、当時20歳だったアダム・ピーティ(英国)が前人未到の57秒台(57秒92)を出したのもこのプールでした。もっともピーティは今年の世界選手権(韓国)で56秒88をマークし、自身の世界記録を塗り替えました。すごいとしか言いようがありません。

     「泳ぎやすいプール」というのは確かにあると思います。日本でいえば、国内のメインプールである東京辰巳国際水泳場はバランスが取れていて、ちょうどいい感じのプールです。9月にジャパンパラ大会が行われる横浜国際プールも好きです。ストローク(腕のかき)やキックが水にしっかりと掛かる気がします。

     どうして泳ぎやすいプールと泳ぎにくいプールがあるのか。あくまでも僕の感覚なのでスイマー全員に当てはまるかは分かりませんが、一番大きな差が出るのは水深だと思います。水深が浅いプールは、手足でかいた水が床に跳ね返り、水が大きく動き過ぎる感覚があります。水が動き過ぎると力が逃げ、水をコントロールすることができなくなると感じます。水質の問題もあり、かいた時に軟らかい感じがする水のプールは好きではありません。

     東京大会の競泳会場となる東京アクアティクスセンターは工事が進み、来年2月に完成すると聞いています。どんなプールになるのか、今から楽しみです。そのプールで僕がメダルを狙っている男子50メートル自由形は、来年8月30日にレースが行われることに決まりました。8月30日は日曜日で、期間中最多となる63種目で決勝が行われます。お客さんがたくさん入るという期待もあります。

     まずは今回の世界選手権で日本新記録を狙います。現在の日本記録は、リオ大会で僕が出した26秒00です。課題にしているスタートがうまくはまれば、日本記録更新も現実味を帯びてきます。パラリンピックに次ぐ国際大会である世界選手権で弾みをつけ、残り1年の強化に励んでいきたいと思います。

    味覚の秋になりました。好きな食べ物や食事で気を付けていることはありますか。

     ギョーザとゴーヤーチャンプルーが好きです。ギョーザは薄味の方が好きで、実家で母が作る味付けが理想です。パラリンピックや世界選手権など長丁場になると、内臓が疲れてくるのか食欲がなくなりますが、体重が落ちないようにある程度の量を食べるように心掛けています。中学1年で出場した2004年アテネ・パラリンピックでは選手村の食事が合わず、つらい思いをしたことを覚えています。08年北京大会や、広州で開かれた10年アジアパラ大会の選手村は、食事も施設も素晴らしかったことを思い出しました。

    やまだ・たくろう

     兵庫県三田市出身。先天性の障害で左肘から先がない。競泳男子自由形で短距離が専門。パラリンピックには、日本歴代最年少の13歳で臨んだ2004年アテネ大会から4大会連続出場。16年リオデジャネイロ大会は男子50メートル自由形(運動機能障害S9)で銅メダル。NTTドコモ所属。28歳。