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社説

回数重ねる日露会談 「未来志向」の実はあるか

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 安倍晋三首相がロシアのプーチン大統領と露極東ウラジオストクで会談した。平和条約交渉をめぐって6月の大阪での会談で進展がなく、今回も切り札があったわけではない。

 両首脳は、条約交渉について「未来志向で作業する」ことを確認するだけにとどまった。

 平和条約の前提となる北方領土の帰属をめぐる双方の主張の隔たりは解消されず、こう着状態を打開することはできなかった。

 領土交渉をめぐる状況は険しさを増している。具体的な展望を政府は描けているのだろうか。

 交渉は1年前の同じフォーラムでプーチン氏が「前提条件なしの条約締結」を提案したのをきっかけに始まった。歯舞群島と色丹島の引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に協議を進めてきた。

 しかし、北方領土の帰属についてロシアは第二次世界大戦の結果、合法的に領有したと日本が認めることが前提だと主張し、行き詰まった。

 会談で確認した「未来志向」は日本側が求めたという。歴史認識の解釈を押し付け合うのではなく、現実的な議論をする狙いからだろう。

 日本は当時のソ連が大戦末期に中立条約に違反して北方四島を占拠したという立場だ。そうであってもロシアはすんなり譲歩するだろうか。

 ロシアは北方領土で軍事力を増強し実効支配を強めている。中距離核戦力(INF)全廃条約失効を受け米国に対抗する戦略拠点とする狙いがあるようだ。プーチン氏が会談後、日米安保を問題視したのも、米国をにらんだものだろう。

 北方領土での共同経済活動についてもロシアの態度はかたくなだ。会談では観光ツアーの試行事業を10月に実施することで一致したが、ロシアは「ロシア法の下で行う」という主張を崩していない。

 プーチン氏は会談に先立ち色丹島の水産加工工場の稼働式典に中継映像で参加した。自力で北方領土の開発を行うとのアピールではないか。

 共同経済活動はもともと信頼醸成の手段として首相が提案した。しかし、領土交渉は停滞し、ロシアは態度を硬化させているのが現状だ。

 未来志向も経済協力も否定はしないが、交渉を断ち切らないことだけに腐心するのでは実は得られない。

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