メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

社説

香港の条例改正案撤回 事態収拾にはまだ足らぬ

[PR]

 香港の林鄭月娥行政長官が中国への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案の撤回を正式に表明した。民主派は「遅すぎる」と批判し、事態収拾の行方は不透明だ。

 長引く混乱は国際金融都市の経済にも打撃を与えている。林鄭氏はさらなる譲歩も考慮すべきだ。

 林鄭氏は6月に大規模デモが続いた後、改正案の事実上の廃案を表明したが、正式な撤回表明には応じなかった。その後も週末ごとにデモが行われ、8月には香港国際空港が占拠されてマヒする事態も起きた。

 警察は催涙ガスやゴム弾を使って取り締まりを強化し、1000人以上が拘束された。デモ隊の一部は火炎瓶などで対抗し、警察とデモ隊の双方に負傷者が出ている。

 撤回表明は約3カ月に及ぶ混乱を収束させる狙いだろうが、民主派の要求とは隔たりが大きい。

 民主派は警察の取り締まりの是非を検証する独立調査委員会の設置や拘束されたデモ参加者の釈放、民主的選挙の実現などを求めている。特に警察の過剰警備への批判は市民の間にも根強い。独立調査委の設置がなければ、穏健派も納得できまい。

 林鄭氏は非公開の場で「行政長官は中央政府と香港市民という二人の主人に仕えなければならない」と板挟みの苦しさを吐露した。

 市民の多くは返還後も民主化が進まず、政治、経済両面で中国の影響力が強まったことで香港の将来に危機感を持っている。

 林鄭氏が香港市民の側に軸足を置かなければ香港に「高度な自治」を認めたはずの「1国2制度」の信頼を回復するのは難しい。

 中国政府は香港に隣接した広東省深圳で武装警察の訓練を公開するなどの圧力を強めているが、威嚇は反発を生むだけだ。

 むしろ香港の意思を尊重し、「高度な自治」に任せる度量を示すべきだ。そうでなければ、香港の将来を握る若者たちの離反が続くだろう。

 10月1日には中国が建国70周年を迎える。混乱収拾には林鄭氏が民主派や学生らの声に耳を傾け、妥協点を探る努力を示す必要がある。

 デモ隊の側も「平和的、理性的、非暴力」という方針を堅持してほしい。中国政府に介入の口実を与えるべきではない。

コメント

投稿について

読者の皆さんと議論を深める記事です。たくさんの自由で率直なご意見をお待ちしています。

※ 投稿は利用規約に同意したものとみなします。

利用規約

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. ANAホテル「営業の秘密と言った事実はない」 安倍首相答弁を否定

  2. 東京マラソン 一般の参加料は返金せず 国内ランナー1万6200円 来年の出走権付与

  3. 東京マラソン 一般参加取りやめ、エリートのみ200人規模で実施 新型肺炎

  4. 「参加費返して」「やっと当たったのに…」 東京マラソン 一般参加者とりやめ、返金せず

  5. 阪急宝塚線 急行にひかれ男性死亡 9万4000人影響 大阪・豊中

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです