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1964年の東京パラリンピックを記録した映像の上映会では、2020年大会の記録映画製作への期待が語られた=東京都千代田区の上智大学四谷キャンパスで7月19日

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レガシーを真の共生社会づくりに

 「1964年五輪」と聞くと、市川崑監督の映画「東京オリンピック」を思い出す人もいるだろう。五輪には公式映画があり、来年の東京大会の公式映画は、「萌の朱雀」の河瀬直美監督が担当すると発表されている。だが、パラリンピックについては、何も決まっていない。国際オリンピック委員会(IOC)とは開催都市契約の中に五輪の記録映画の製作を義務づける項目があるが、国際パラリンピック委員会(IPC)との間には、同様の契約がないからだ。パラリンピックの出場経験者(パラリンピアン)からは「レガシー(遺産)として、パラの映画も残すべきだ」との言葉が相次いでいる。

     東京都千代田区の上智大で7月中旬の2日間、64年パラリンピックの映像上映会(毎日新聞社後援)が開かれた。64年大会運営委の報告書には、公式映画がないという前置きに続き、「各機関の自主製作による記録映画」として6作品が書いてある。上智大は、このうち存在が確認できた大映配給のドキュメンタリー「東京パラリンピック 愛と栄光の祭典」(白黒、63分)と、NHK厚生文化事業団製作の「1964年東京パラリンピック大会記録映画」(白黒、45分)を紹介した。

     2018年の平昌冬季パラ日本代表選手団の大日方邦子団長は上映会後、自身がスキー選手として出場し金メダルを獲得した98年の長野大会に触れ、「出回っている映像、記録が既に少ないことが気になる」とし、「多くの視点で2020パラを記録として残し、後世に継いでいくことも大切だ」と述べた。

     日本人最多のパラリンピック21個のメダルを獲得した日本パラリンピアンズ協会の河合純一会長は「記録映像が6本あったことが驚き。そのうち2本がやっと見つかり、日の目を見ることができたのは、とても良かった」と評価しつつ、当時の選手たちや障害者のスポーツが置かれた状況などには「50年以上前と目指していることは変わっていないと感じた。実際には便利になったり、良くなったりした部分はあるとは思うが、本質的な問題解決には至っていないと思った。より多くの方々に視聴していただき、考えてもらいたい。真の共生社会について」とコメントを寄せた。

     上映会には、東京2020大会組織委やスポーツ庁、東京都などの関係者も含め、2日間で述べ1000人が鑑賞した。「素晴らしい」「貴重な映像だ」といった感想を述べる人が多かったが、本来であれば、こういった機関が、64年大会運営委が報告書に記した6作品の行方を全て探し出して内容を確認し、鑑賞会を開いていてもおかしくないはずだ。

     7月の上映会を主催した上智大の師岡文男名誉教授は、上映会実行委メンバーと、見つかっていない映像を今も捜している。師岡氏は「20年大会は大会全体の記録映画を公の組織が製作し、行方不明にならぬよう公の機関が保管するべきだ。ビデオが存在しなかった64年と違い、今は、民間でも映像を容易に撮影し残せる。公私両方の記録をどう整理してどう保管するか、〝パラリンピック博物館〟の設立も期待される」と話す。

     NHK厚生文化事業団製作の映像は、同事業団の福祉ビデオライブラリーで借りることができる。大映の事業を継承したKADOKAWA(本社・東京)は今後も、「愛と栄光の祭典」の上映会を計画中だという。(毎日新聞社オリンピック・パラリンピック室委員、山口一朗)

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