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余録

「男ばかりと見えて案山子の哀れ也」は正岡子規の…

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 「男ばかりと見えて案山子(かがし)の哀れ也(なり)」は正岡子規(まさおか・しき)の句。今はおもに「かかし」というが、もともとは「かがし」で、「嗅がし」が語源という。昔は鳥獣の害を防ぐのに獣毛などを焼いて悪臭を出したのに由来する▲歳時記には今も「鹿火屋(かびや)」という季語が残るが、これは悪臭をくゆらしたり、板を打ち鳴らしたりして田畑をシカやイノシシから守る小屋だった。秋の実りを狙う獣の目、鼻、耳も驚かせて追い払おうと懸命だった昔の人たちである▲現代の獣害防止にはよく電気柵による体へのショックが用いられる。最近はある獣害を防ぐのに獣の口や舌も利用しているが、何のことかお分かりか。そう、豚(とん)コレラ拡大を防ぐための野生イノシシへのワクチン入りエサの散布である▲岐阜県の養豚場で26年ぶりに豚コレラが発生して1年になる。野生イノシシを介したとみられる感染は7府県に広がった。専門家はこのままではイノシシの感染域が年明けにも養豚業のさかんな関東地方に到達する恐れがあるという▲国の対策では感染を食い止める防衛ラインを設けて銃猟などによるイノシシ捕獲を進め、感染イノシシの生息域を囲む帯状の区域でワクチンを散布する。養豚場も厳戒を続けるが、人の靴や車によるウイルスの侵入阻止は容易でない▲止まらない感染拡大に、国も豚へのワクチン使用を検討しているというが、輸出入への影響などからなお慎重な姿勢をみせている。ウイルスを追い払う「かがし」のないのがもどかしい亥(い)年の秋である。

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