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社説

英首相の政治姿勢 代議制を揺るがす強引さ

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 欧州連合(EU)からの離脱期限を来月末に控え、英国のジョンソン首相が議会と全面対決の姿勢を取っている。英政界は混乱の極みだ。

     原因と責任は首相にある。議会の一時閉会や造反与党議員の追放など「議会封じ」とも受け取れる強硬策によって、反対勢力の動きを強引に抑え込もうとしたためだ。

     議会は、選挙で選ばれた国民の代表が議論し、政策を決める代議制民主主義の中核である。代議制の基礎が揺るがされることを危惧する。

     英国の上下両院は、離脱期限を来年1月末まで3カ月延期するようジョンソン首相に求める法案を可決した。9日に成立する見通しだ。

     法案は、経済や社会の動揺を招く「合意なき離脱」を回避するのが目的だ。「合意なし」も辞さない構えを取ってきた首相は議会の意思を尊重し、方針を転換すべきである。

     ところが、首相は、法案関連動議に賛成した造反与党議員を除名処分にした。さらに、延期をEUに頼むくらいなら「野垂れ死にする方がまし」と、かたくなな態度を貫く。

     2016年の国民投票で離脱派が小差で残留派に勝利した結果を絶対視しているのだろう。首相は「離脱は英国民の決断であり、尊重しなければならない」と主張し、解散・総選挙による仕切り直しを画策する。

     議会を「離脱への抵抗勢力」と位置づけ、あたかも国民に敵対しているかのような印象を与えようとする。こうした言動は、民主政治のプロセスに対する重大な挑戦だ。

     首相は7月の就任後、EUと離脱協定見直しで合意する可能性が高まっている、と自信を示してきた。問題はめどが立っていないことだ。

     最大の対立点は、英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドとの国境管理問題である。EUは、有効な解決案が英国から提示されない限り、妥協に応じる用意はない。

     EU離脱は単なる英国の内政問題ではない。無秩序な離脱となれば混乱は必至で、世界経済に重大な影響が及ぶ。欧米を中心とする国際秩序の安定も揺るがしかねない。

     議院内閣制の長い伝統を持つ英国は「議会政治の母国」と呼ばれてきた。政治の混乱が制御不能となって「合意なき離脱」に陥るような事態は何としても回避すべきだ。

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