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台風15号で通勤混乱 「出社に及ばず」の共有を

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電車の運転開始を待ちJR渋谷駅の改札前に集まる人たち=東京都渋谷区で2019年9月9日午前8時58分、喜屋武真之介撮影 拡大
電車の運転開始を待ちJR渋谷駅の改札前に集まる人たち=東京都渋谷区で2019年9月9日午前8時58分、喜屋武真之介撮影

 台風15号が首都圏を直撃し、鉄道網がまひして多数の通勤客らが駅で足止めに遭った。

 JR東日本や私鉄各社は、きのうの始発から運休をあらかじめ告知する「計画運休」に踏み切った。

 JR東の運休は首都圏のすべての在来線で、当初は午前8時ごろから運転を再開する見通しだった。だが、倒木などの影響で、山手線をはじめほとんどの路線で再開時刻がずれ込んだ。

 新たな再開見込み時刻に合わせ、一度に大勢の人が主要駅に詰めかけたために入場規制が敷かれ、改札の外には長蛇の列ができた。

 多くの駅では、客らが疲労困憊(こんぱい)しながら待機しなければならなくなった。職場にたどり着いたのが午後になった人もいた。

 災害に見舞われながらも何とかして出社しようとするのは、日本人の勤勉さの表れだろう。文句も言わず長時間列に並んでいられるのは、日本人の冷静さの証明かもしれない。

 しかし、駅でただ待機していたのでは、本人にとっても企業にとっても、時間を浪費しているだけだ。

 こういう日は会社に行かなくていい、来なくていいと従業員も企業も当たり前に考えられないだろうか。

 情報通信技術を活用して、自宅などを仕事場とする「テレワーク」が広がりつつある。そんな働き方が可能な仕事であれば、テレワークに切り替えていけばいい。

 サービス業や製造業の多くは、実際に人が職場に行かなければ仕事にならないだろう。だが、大規模な交通まひが生じている時に、平時と同じ業務を続けるという発想にそもそも無理があるのではないか。

 従業員が出社しなければ、企業は営業をできずに収益が低下する。災害時にはそれでも仕方ないと多くの人が割り切るようになれば、働き方も変わるだろう。

 どうしても出社しなければならないのは、ライフラインの維持や医療にかかわる職種などに限られるのではないか。

 「出社に及ばず」は、かつて遠回しな解雇通知に用いられた表現だ。その意味ではなく、災害時にはあえて出社しなくてもいいという考え方として、社会全体で共有できるようになりたい。

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