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岡崎 武志・評『君が異端だった頃』『やがて満ちてくる光の』ほか

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今週の新刊 

◆『君が異端だった頃』島田雅彦・著(集英社/税別1850円)

 「自伝的青春私小説」とある島田雅彦『君が異端だった頃』が面白い。「君」とは著者のことだが、これが本当なら、かなり赤裸々な告白の書だ。

 前半は大学入学まで。東京・多摩丘陵で土器発掘に勤(いそ)しんだ素朴な時代を経て、神奈川県川崎市南部の中学、高校で荒れ狂う青春に身を投じる。意外にモテなかった。それでも「必ず小説家になり、空回りと空騒ぎに終始した恥ずべき高校時代を全て書き換えてやる」意志を固めた。

 一浪後に東京外国語大ロシア語学科に入学。単身ソビエトへも行った。首猛彦の筆名で小説を書きはじめ、仕上がったのが『優しいサヨクのための嬉遊曲』。芥川賞候補6度の記録を打ち立て、編集者、先輩作家たちとの酒とバラの日々。無頼派最後の世代であろう。

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