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余録

「お前もか、わが子よ」…

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 「お前もか、わが子よ」。ローマの歴史家スエトニウスはカエサルが暗殺者の中にブルトゥスを見た時の言葉をこう記した。ブルトゥスの母はカエサルの愛人だけに実子説もあるが、年齢的には無理がある▲「ブルータス、お前もか」はシェークスピアの「ジュリアス・シーザー」のせりふで、世に定着したのはこちらだ。裏切りに加え、戦敗から自害にいたる運命のかげりも帯びた人物だけに、まずあまりなぞらえられたくない名である▲その辺は万事あまり遠慮のないフランスのメディアゆえか、「フィガロ」紙は「ブルータスが追いやられた」と報じた。日産自動車のゴーン前会長を告発、逮捕に追いやった西川広人(さいかわ・ひろと)社長の辞任表明はルノー社の本国でも速報された▲西川氏といえば、まず驚いたのは前会長の電撃逮捕後、すぐ一人で記者会見して憤りを表明した一幕だった。それが前会長の元側近と聞いて2度驚いたが、今度は自らも不当に上乗せされた報酬を受けていたそうで、3度目の仰(ぎょう)天(てん)だ▲調査では上乗せ報酬に違法性はなく、当人も手続きへの関与を否定した。だがゴーン体制を支えた責任を問う声は機関投資家はじめ諸方面から噴出、業績悪化と1万人以上の人員削減を進めるなかでの報酬問題浮上は致命傷となった▲「(脱ゴーン体制の)道半ば」と無念をにじませた西川氏にブルータス呼ばわりは不本意だろうが、カリスマの支配からの脱却にはこうした曲折がつきものである。新時代への飛躍の成否は後継体制に委ねられる。

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