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手紙やはがきの土曜日配達が来年にもなくなる見通しだ。総務省がそのための郵便法改正案を国会に提出する準備を進めている。
全国一律で誰もが安価に利用できる公共的なサービスを「ユニバーサルサービス」と呼ぶ。郵便法は郵便のユニバーサルサービスの水準を規定している。
今の郵便法は手紙やはがきなど郵便物について、全国どこでも月曜から土曜日まで1日1回の戸別配達を義務付けている。離島を除いて、預かり日の翌日から3日以内に届けるとも定めている。
配達見直しは日本郵便が人手不足などを理由に求めてきた。ユニバーサルサービスの質に関わるため、総務省の審議会が1年かけて議論し、きのう了承する答申を出した。
見直し後は、土曜日配達廃止と同時に、相手先に届くまでの日数も4日以内に延びる。日本郵便は自主的に取り組む同一都道府県内などでの「原則翌日配達」もやめる方針だ。
この結果、木曜日に出した手紙やはがきの配達は週明け月曜日にずれ込む。その代わり土曜日も配達する速達の料金を1割程度安くして利用者に配慮するという。
電子メールの普及で郵便物取扱数はピークの2001年度から3割以上減っている。そんな中で「手紙・はがき離れ」を加速させかねない配達見直しが浮上したのは、郵便事業の経営が厳しくなっているからだ。
日本郵便によると、土曜日配達分だけで仕分け作業などに掛かる人手は約5万5000人にのぼる。サービスを見直せば、年600億円以上の収支改善が見込めるという。
インターネット通販拡大を追い風に、宅配便「ゆうパック」の取扱数は伸びている。だが、収益の大半をゆうちょ銀行とかんぽ生命保険からの金融商品の委託販売手数料に頼る経営構造は変わっていない。
かんぽ商品の不正販売問題で、今後は委託手数料が減る恐れも出ている。日本郵便にとって、全国2万4000の郵便局を抱える郵便事業自体の収益改善は急務となっている。
土曜日配達の廃止はやむを得ないとしても、収益悪化を理由にさらに配達日を削ることは許されない。郵便サービスの将来像は郵政民営化の条件を満たすものであるべきだ。