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女の気持ち

ネクタイ 奈良県平群町・佐藤小百合(パート・54歳)

 今年3月に父が亡くなり、実家を処分することにした。月に1回ほど片付けに通っている。両親の世代は本当にものを捨てられない。衣類、小物、粗品、景品……。とにかく捨てることに閉口している。

 そんな中に、見覚えのあるネクタイが出てきた。小学校高学年の頃、父の日にあげたものだ。鹿(か)の子(こ)模様の深緑色のネクタイだったと思うが、模様の上をカビが覆い、汚く、えたいの知れないものに変わっていた。それでも、私があげたものとすぐに分かるのには理由があった。

 父は陶器工場に勤めていた。毎日、胸ポケットに社名と自分の名前が入った作業着で出勤し、一日の汚れを工場の風呂で落として普段着で帰って来ていた。物事を客観的に見て考える年齢になっていた私は、自分の父親が何だかかっこ悪く、貧乏たらしく見えて恥ずかしかった。友達に父の職業を聞かれるのも嫌だった。テレビのドラマで見たり友達から聞いたりするお父さんは、背広にネクタイでパリッと決めて家を出て行く。それが憧れだ…

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