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社説

諫早干拓で最高裁判決 国の責任で不信の解消を

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 長崎県の国営諫早湾干拓事業に伴う漁業被害をめぐり出された正反対の司法判断をどう整理するのか。注目された判決で、最高裁は潮受け堤防の排水門を開門せずに、漁業者と国が和解する方向性を打ち出した。

     諫早湾が堤防で閉め切られた後、赤潮発生などで漁場環境の悪化に悩んだ漁業者は2002年、開門を求めて提訴した。1、2審とも国に開門を命じ、10年に当時の旧民主党政権が上告せず、判決が確定した。

     これに対し、塩害などを懸念する干拓地の営農者らがその後に起こした開門差し止め訴訟では、開門を認めない判決が出され、司法判断がねじれていた。

     堤防建設の正当性にこだわる国は開門を回避する姿勢を続けてきた。14年には司法判断の「ねじれ」解消を狙って、最初の開門判決の無効化を求める提訴に踏み切った。

     この訴訟では、漁業者が開門を求める根拠となった共同漁業権が争点となった。2審の福岡高裁は昨年7月、「漁業権の期限が13年8月に切れたため、開門請求権も失われた」として、国勝訴の判決を下した。

     しかし、最高裁は今回、この理由では確定した開門判決を覆せないとして、国勝訴の判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した。

     一方で、「諫早を巡る事情は変化している」として、漁業者が今後も開門を求め続けることが妥当かの審理を尽くすように高裁に求めた。

     ただし、実態は司法判断による解決の限界を認めた上で、開門しないことを前提に国と漁業者に和解協議を促す意向のように解釈できる。

     干拓事業は「戦後の食糧難を解消するコメ増産策」という一昔前の政策目的で1986年に着手された。減反政策が取られる時代になっても工事が強行され、その結果、漁業者と営農者の対立を招いた。

     国は開門命令判決に従わない一方、漁業者に制裁金を支払ってきた。また、開門しない代わりに100億円の基金を設けて漁場環境を改善する解決案も提示した。

     だが、「豊かな有明海を取り戻したい」と切望してきた漁業者側は、金銭解決を前面に出す国の姿勢に不信感を高めている。国は漁業者の不信が解消されるように誠実な和解の道を探るべきだ。

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