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工芸の地平から

ガラスに本格的な物語性=外舘和子

菅野有紀子「deep river」=岡村喜知郎撮影

 第4回金沢・世界工芸トリエンナーレで最終の審査を終えた。事務局は11月10日から始まる金沢21世紀美術館市民ギャラリーでの展示に向けて準備中である。世界35の国と地域525点から一次審査を通過した76点は、入選しただけでも大いに実力を認められたといってよいだろう。前回は受賞を日本人が占めたが、今回は受賞作9点のうち2点に海外からの漆と金工の作品が選ばれた。9人の受賞者のうち6人が女性であったという結果も、昨今の女性作家たちの意欲を反映していよう。入選作には漆、陶、染織、金工ほか様々な素材が含まれ、サイズについても、掌(てのひら)に収まるものから人間サイズの大作まで幅広い。審査会場はまさに工芸の現在そのものであった。

 大賞を受賞した菅野有紀子のガラス作品は、一見すると驟雨(しゅうう)の中にいる少女の半身像である。あどけない表情を見せながら両手を雨に濡(ぬ)らす少女の髪は逆立ち、雨と一体である。作者によれば雨はむしろ「川」のイメージであるという。それは少女の中を流れ続けるものの隠喩なのである。大量の雨を、作者は細いガラス線を一本一本溶着させて制作した。少女の髪については、いわばカツラを作る如(ごと)くの工程であ…

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